珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

十数年のオタク人生に幕を下ろす件についての覚書|オタクという言葉と存在

数年前から手元の漫画や同人誌やフィギュアやその他グッズを処分している。一時期ブームになった断捨離本や片付け本は読んだことがないし、そういった流行りに乗ったつもりも無かったのだが、もしかすると心の何処かで影響されていたのかもしれない。単純に熱意が窄んだというのもある。モノが部屋から消えていくのは気分が良い。

大きなダンボールがモリモリ積み上がるほど有ったそれらは今やダンボール3分の2程度の量しかない。そしていよいよ(実質)最後の一群を売却する決心がついた。(実質)とあるのは、今やそのゲームにログインすらしなくなったものの今でも好きで好きで堪らないキャラクターがいて、彼のグッズと彼が登場しているひと握りの公式漫画だけは取っておくことにしているからだ。一生捨てられる気がしない。彼のタペストリーなんか購入上限の5本買った。彼のグッズが出たらまた買うと思う。辞めたソシャゲのグッズ情報などを調べていると、これまでかけた時間やお金のことを思い出して心がチクチクするのだが、仕方ないね。

情熱が消えて、物質も消えた。

少し前にツイッターで「もう全然アニメ見ないし漫画買わないしグッズも特定のキャラ以外一切手出さないしイベントはおろかアニメイトにすら行ってないけど、ソシャゲ課金してるしPixivは頻繁に見に行くのでまだオタク」などと宣っていたのだが、 ソシャゲは辞めたし、Pixivにも滅多に通わなくなった。エッチなイラストや漫画や小説に飢えなくなった。

そうしてオタクっぽい気質だけが残った。

十数年間のオタク人生には幕を下ろしたが、もう非オタの精神には戻れないのだ。非オタの感覚は取り戻せないのだ。好きなことの話題になると途端に早口になったり、赤の他人の存在を意識してキョロったり、まとめサイトツイッターで見かけた真偽不明の知識を会話の中にそれとなく混ぜ込んで披露してみたり、オタクっぽい奴を見かけると「うわっオタクだ……キモ……」と自分のことを棚に上げて猛烈に嫌悪したり、そういったアレな習性はきっと抜けないのだ。地獄か?

2000年代辺りはオタク=キモい、暗いのネガティブテンプレ一辺倒だったような気がするが、ここしばらくはオタクの多様化が著しく、オタクの中にも超社交的なパーリーピーポーが居たりするため、もうオタク=キモい、暗いのテンプレは全く通用しない。昨今においては「アニメや漫画やサブカルが好きな人」という元々?の意味合いに落ち着き、そこに人の性分(特にネガティブなやつ)が付随することはほぼほぼ無くなったと思う。まあ普通に考えれば何かが好きな集団の中に明るい人間がいるのも暗い人間がいるのも当たり前のことだ。なので私のようなキモいオタクを蔑視したければちゃんとキモオタと呼んで区別しなければならない。だって叶姉妹もオタクなんだから。そしてそのキモオタからオタを引いたらただのキモである。これが現実。

ある一定の頃まで、インターネットでのコミュニケーションはオタク独特の文化だった。オタクではない人々は専らリアルで会話を楽しんだりリアルで遊びに行ったりしていた。そんな「リア充」共を横目に「俺たちがインターネットで”世界”と繋がっている間にあいつらはまだ狭い世界に閉じこもって身内同士ワイワイやってやがるぜ」とキーボードを叩いていた。ッターン!

それがSNSの大流行やケータイ(というかスマートフォン)の普及によって、 一昔前まで限られたマニアの溜まり場であったインターネットに、パリピ陽キャがどんどん進出してきた。インターネットに詳しいことだけでは誇れなくなった。アングラなサイトでコテハンつけてちょっと幅を利かせているくらいでは何の自慢にもならなくなった。インターネットで(可能なら顔を出して)面白いことをして有名にならなければ誇れなくなった。今に始まった話ではなく、もう何年も前からこんな感じだけど。

貴方が昔、小中学校で「あのね、インターネットに2ちゃんねるって掲示板があってね……」と鼻息荒く熱弁していた非オタの友人は今や人気Youtuberかもしれない。貴方が昔、高校や大学で「Twitterっていうのめっちゃ面白いよ、こうやって呟きを送信するのをツイートするって言って、これはタイムラインで……」と力説していた非オタの友人は今やカリスマInstagramerかもしれない。mixiFacebookは私の専門外なので割愛している。何故かって友達がいないからだよ。

最早インターネットが使えるのはお箸が使えるとかそういうレベルだ。

 ええと、何の話をしていたんだったか。

売る決心をした最後の薄い本や書籍やグッズはまだ手元に有る。何冊かある設定資料集が重すぎてとても1人では売りに行けそうにないのだ。久々にご飯食べに行こうみたいな理由をつけて親父に車を出してもらうしかない。免許も持ってない駄目な娘でごめんなさい。

全部で2000円くらいになれば嬉しい。

 

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