珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

人肌がぬるっとする件についての覚書|代金を手渡しするな

腹の立つ種類の客は多々いるが、どうしても許せない客がいる。金を手渡ししてくる客だ。金を財布から出して、そこに置けばいいものをこちらの動作が終わるまで握ったまま待っている。金を握ったまま待機状態になっている客を見るとクラリと目眩がする。しかしこちらは受け入れなければならない。顔が全力で引き攣るのが分かる。直接受け取る。ぶわ。こちらの手の中に小銭がいっぱいある。えーっと、100円玉がひいふうみい、10円玉が……ええい数えづらい。数えづらいし腹立つからこれみよがしに受け取った小銭を机の上にぶちまけて数える。直接渡されると小銭を数えづらい。めちゃくちゃ数えづらい。手渡しで受け取った0.5秒後くらいにはもう机の上にぶちまけている。数えづらいのも嫌だし、なんか指が触れるのも嫌だ。指先がこっちの手を掠めるのが嫌だ。それならいっそガッチリと握手でもしたほうがまだマシだ。指先がスッと触れるのがどうしてもいやだ。

潔癖症というわけではない。部屋の中はめちゃくちゃ汚いし、水回りの汚れを水流しながら素手でパッパと洗ったりするのも平気。他人の髪の毛が落ちてるのを拾ったりするのも平気。 なんで事務所に短い縮れ毛が落ちてるんだ?だけどどうしても他人の手とか指が「スッ」と触れるのが嫌だ。

私は極度にくすぐったがりで、そのためにとにかく美容室が苦手である。美容室で頭を洗ってもらってる間、とにかくくすぐったい。くすぐったくて、引き攣る口元を必死に制御して、特に首筋に近い部分を洗われるとゾワゾワして打ち上げられた魚のように背中がビクリと跳ねてしまう。美容室では顔にタオルを掛けてくれるが、口元は大体隠されない。頼むから口元を隠して欲しい。もうくすぐったくてくすぐったくて笑いが堪えきれない。拷問である。肩もみマッサージをしてくれる美容室もあったが、それめちゃくちゃ苦手なので、「アッいいですwwwマッサージはwwwちょっとくすぐったくてwwwあの大丈夫ですwwwウヒヒwww」と1人で暴れていた。ごめんなさい。そんな美容室もかれこれ1年くらいは行ってないと思う。その前に行ったのも多分2年前くらいだと思う。

そういうわけで手を繋いで歩いているカップルやなんかベタベタイチャイチャしているカップルを見るとウ゛ ェ ッとなるのはリア充爆発しろ的なやつではなく(それも少しあるけど)よく他人の肌なんて触れるな……という感心とそこから想像してしまった他人の体温が自分の触覚にぬるぬるとしたものを連れてきてオ ア ー ッとなるからである。それに自分が他人とベタベタイチャイチャしているところが想像できない。私は何歳になっても家に大きなぬいぐるみを置いて、ぬいぐるみといちゃいちゃしているんだと思う。ぬいぐるみはぬるぬるしないからである。ぬいぐるみはふかふかだから。今はデカい猫のぬいぐるみが4つと、ピカチュウが1ついる。みんな可愛い。

 とはいえ「私、人の体温嫌いなんですよね」という台詞が許されるほど若くないしメンヘラ美少女でもない。繰り返しになるが潔癖症でもない。まあ誰にでもぼんやりと嫌いなものはあるさ。私に会う時は軍手して来てくださいまし。

 

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