珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

誰かがやらないと誰もやらないような物事についての覚書|「誰か」になる私

嵐のような女、去る

以前記事にもした暴風雨のようなアルバイトの女性。突然、お星さまになった。

shirokuro-044.hatenablog.jp

 後にも先にも、このブログでこんなに特定個人の愚痴を書き散らすことは無いと思う。上の記事は読まなくていい。「暴風雨のようなアルバイトの女性」とは、「アルバイトの中では比較的新人であるにも関わらずある日突然私がリーダーだと言わんばかりに店を仕切り始め、グループLINE上でベテランとバトルを繰り返し、一方でその大口の叩きっぷりにも関わらず仕事のミスを連発する上、当日欠勤を当たり前のように繰り返す女性」のことである。彼女が飛んだ。来なくなった。2日連続無断欠勤から、流れるように退職。彼女の知り合いから、前職でも全く同じやり方で飛んだと聞いている。いや……もう何も言うまい。どこかで勝手にやってくれ。

「誰かがやらないと誰もやらないことは誰かがやらないと誰もやらない」

これだけじゃあんまりなので、他の、少し関連した話題について話そう。

「誰かがやらないと誰もやらないことは誰かがやらないと誰もやらない」。これは私の座右の銘的な何か。誰かがやらないと誰もやらないから、誰かではなくて私がやろう。最近深夜は割とヒマなので、誰も掃除をしなくてドヒャーとなっていた箇所を、必死に清掃している。汚れがドバドバ出てくる。ドヒャー。誰かがやらないとこうなるんだ。「あっお疲れ様です聞いてくださいよ!さっき時間あったからあの場所をめちゃくちゃ掃除したんですけど、この洗剤とこのブラシ使ってゴシゴシ擦ったらすっごい綺麗に汚れ落ちるんです!今までもそうすればよかった!」……これは単なる感想ではなく、私からのささやかな威圧である。「あなたも時間が有るときにはこの洗剤とこのブラシ使ってあの場所をゴシゴシ擦ってくれ」という圧力である。伝わっているかは分からない。伝わってなかったら、また私がやるさ。誰かがやらないと、誰もやらないんだから。

誰かって、誰

 ただ一時期、この「誰かがやらないと誰もやらないことは誰かがやらないと誰もやらない」に苦しめられていた時期があった。「誰かがやらないと誰もやらないこと」は、「誰かがやらないと誰もやらない」のに、それをやったところで、感謝はおろか、理解すらされないことが往々にしてある。物好きですねェ、真面目ですねェ、って鼻で笑われることもある。それでも、誰かがやらないと誰もやらない。誰かが、誰かがやらないといけないのに。以下、何もしない人と、誰かがやらないと誰もやらないことをやっている人との、架空の問答。

「何でそんなことやってるんですか?」――だって、誰かがやらないと、誰もやらないでしょう。

「別に放っといてもそのうち誰かがやりますよ」――誰かって、誰がやるんですか?

「さあ?でも、あなたがわざわざそんな面倒なことやらなくたって、いつかきっと誰かがやってくれるでしょう?」――あなたの言う誰かって、誰かって、一体誰なんですか!? 

 誰かっていうのは、空っぽの席。誰が座ってもいい空白の席。誰かがやらないと誰もやらないなら、私が誰かになるしかない。私が誰かになる。私が誰かになる。「おや、いつの間に誰かがやってくれたみたいですよ」「まあ本当ですか、誰か分かりませんがそれはよかったですね」――誰かじゃない、それは私が。私がやった。でも私は誰かだから、それで正しい。私は誰かだから。私が自ら進んで誰かになったから。「誰かがやった」というのは、正しい。それは私がやったし、私は誰かだから。「誰かがやった」というのは、正しい。

嵐のような女の置き土産

 冒頭の女性の話に戻る。

彼女がやらかした諸々についてあまり擁護したくはないが、敢えてするとすれば、確かに彼女は「誰かがやらないと誰もやらないこと」をしようとしていた。誰への相談も無くかなり強引だったとはいえ、店の中であやふやになっていた所を片っ端からはっきりさせようとしていた。それは多分、みんな、いつか誰かにやってほしかったことだと思う。例えば、マニュアルが無くて従業員によって対応にバラつきがあった部分に関して、「あの場合はこう、この場合はこう、例外はナシ」ってはっきりさせて欲しかったと思う。いや、みんなじゃないな。私が。私が、はっきりさせて欲しかった。誰かに。いつか誰かがマニュアルとして纏めてくれるだろうって、思ってた。それを彼女がやった。彼女が口うるさく書いていったメモが、彼女の置き土産。この際、彼女が作った取り決めで彼女自身がヘマをしていたことには目を瞑ろう。しかしながら、彼女は「誰か」として生きていくにはあまりにも苛烈すぎた。

なんというか、何もかもやるせない。彼女はどこなら輝けたのだろう。いや輝ける場所を見つける前に、錆を落とす方が先だ。綺麗になったら、何処へでもお行き。「誰かがやらないと誰もやらないこと」をいくらやっても、他人のミスを指摘しておいて自分も全く同じミスをするとか、月に何度も当日欠勤するとかされたら、プラマイゼロどころか大いにマイナスなんだよなあ。

みなさんも体調が優れないと思ったら、早めに連絡しましょうね。

 

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