珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

痛い女の痛い生活についての覚書|痛々しい女の痛々しい生活がなんだって

お先真っ暗、お手手は真っ赤

半年程前から両手指の湿疹がすごい。どれくらいすごいかと言うと、客に心配されるくらいすごい。あまりにも言われるので手袋を付け始めた。皮膚科では抗ヘルペスウイルスの薬を貰ったので、ヘルペスなんだろう。私の指は一体何度皮が剥けたら気が済むのか。これを書いている今は左手の親指以外の指は全滅している。1日の絆創膏の消費量は優に20枚を超す。水に濡れて痛い、物に触れて痛い、手袋をして痛い、風に当たって痛い、もう何をしても痛い状態で、何にも触らず手をぷらぷらしている時だけ辛うじて正気を保っていられる。出来るものなら手を宙に掲げた降参のポーズでずっと生活したい、まさに文字通りの「お手上げ」状態なのである。話は変わるが先日、小用中に激痛を感じるようになったため膀胱炎という予測を立てて泌尿器科併設の評判のいい婦人科に行き、「膀胱炎の検査は尿採取だけらしいから大丈夫」という完璧な油断の上で何の前準備もせず受診したのだが、なんだかんだあって結局視診される羽目になり、院長先生から「ヴォアァ~~~ヘルペスがすごいある」と言われた。太ももの裏にあるクソデカ湿疹も発見されて「これもヘルペスですね」と言われた。話変わってないじゃん。先生には「休息をしっかり摂ってください」と言われた。先生、休息の摂り方も教えてください。

 

多分治療費が1番痛いと思います

私の現状を端的に言うと、「楽しいことは何も無いのにただ痛いことだけが沢山ある生活」となっている。手洗いが辛い、洗顔が辛い、風呂が辛い、仕事の洗い物と消毒剤が辛い、バッグに手を突っ込んで鍵を探すのも辛い、ポケットに手を差し込むのも辛い、トイレが辛い、歩行が辛いという、じゃあ一体何なら辛くないのかという話だが、少なくとも起きて動いている間はずっと辛いので、睡眠だけなのだろう。ちなみに今めちゃくちゃトイレに行きたいのだが、用を足すたびに皮膚を裂かれるような痛みに襲われる上に30分以上痛みの余韻が続くのが怖くてかれこれ1時間近くもじもじしている。それはさておき、その「楽しいことは無い、ただ痛いことだけがある」という現状を自覚してから、なんというかこう、死に瀕した人の見る世界を疑似体験しているような気分である。周りの色が少しだけ薄くて、空とか音とか光とか、そういうもの全てがよそよそしくなった。自分がぽっかり浮いていて、何もかもが初めて見るもののようだ。世界よ、そんなに腫れ物に触るように扱わなくても。まあ実際、歩く腫れ物なんですけども。この免疫力よわよわの状態でコロナにでも罹ったら、自分、本当に死ぬんじゃないかと思う無論いつか治るという希望を持って病院には通い続けるけど、ただただ毎日痛いことに耐え続けるだけの暮らしってあんまりだ。昼は歯を食いしばってアチコチの痛みに耐え、夜は拳を握り締めて気違い連中の相手をしなくちゃいけなくて(もちろんアチコチは痛いまま)、それを癒してくれるものが何も無いんだから、生きてるだけで拷問もいいとこである。もともと人の生って拷問みたいなところあるけど。

 

~ここでトイレ~

今トイレに行ってきたんですけど痛みに対する恐怖のせいかほとんど出ませんでした。残尿感がすごい記念にエピクロス先生のお手紙引用します。

七日前にこの手紙を書いていたとき、わたしは排尿がまったく困難となり、ひとをその生涯の最後の日へと導くかずかずの苦しみを受けた。そこで、わたしの身にもしものことがあったら、四、五年の間、メトロドロスの子供たちの世話をしていただきたい;ただし、いま、君が毎年わたしのために出費しているより多く出費していただかなくてもよろしい。 

エピクロス――教説と手紙』出隆・岩崎允胤訳,岩波書店,1959

(※文中の「;」は本文中ではシロテン)

 天国ではエピクロス先生のおしっこが安らかに出んことを 

 

ねこはかわいい

人間、老いたらアチコチがかなわなくなるわけだけれども、その時に何も楽しいことがなかったら、今の私以上に辛いと思う。自分はこれから死ぬまでひたすら痛いことしかないのかも、と自覚したらやっていけないと思う。そりゃ医者に怒られてでも酒を飲んでタバコを吸いたくなるし、身内に怒られてでもパチンコに行くわけだ。一方私の方といえば、「楽しいことを探す!!」と言いながらひたすら堅苦しい本を読み漁っては「ウーン、人間はクソ」という結論にたどり着いている。違う。そうじゃない。強いて思いつく楽しいことといえば、スマホアプリのねこレストランというものをここ最近やっている。

play.google.com

ひたすらタップして客を集め、稼いだ金で店を拡張していくごく簡単なゲームなのだが、このゲームの後半以降は実質エンドコンテンツなのではと言いたくなる果てしない拡張要素によって永遠に遊んでいられる仕様となっている。あとねこが可愛い。従業員のねこにリーゼントとか付けることが出来る。意味がわからない。このゲームは短い広告動画さえ熱心に視聴すれば課金は一切必要無いのだが、広告が動画である故に通信料が容易に死ぬ。Wi-Fi目当てにコンビニ前で煙草吸いながら画面を必死にタップしている黒ずくめの女が居たら私です。とりあえず今はねこレストランに生かし……生かさせて?生かさせられ?生かされ?ええと、ねこレストランが私を生かしています。ねこは往々にしてよく伸びるし、人の寿命もよく伸ばす。

 

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