2500年続く人類共通の鉄板ネタについての覚書|そりゃうんこドリルも大ヒットするわな
アリストパネス『平和』(岩波文庫版)冒頭までの感想を3行で
う
ん
こ
まあ我々も古き冥界の女神をエレちゃん呼ばわりしてるし多少はね
オイオイなんだあれ。人類は2500年前からうんこちんちんケツの穴で喜んでたのか?トリュガイオスが大黄金虫に乗って天界に着くまで、あいつらうんこちんちんケツの穴の話しかしてない。冒頭の10ページくらい、うんこの話しかしてない。なんだあれ。まだ1/5くらいしか読んでいないのだけどクソ笑った。うんこだけに。なんちゅうモンを古代の人間は観てやがんだ。いやしかし、喜劇中に張り巡らされた技巧の素晴らしきことは、細やかな注釈のお陰で知るに能うところである。短い話なので是非実際に読んで頂きたい。にしたって、アレだ。オリュンポス十二神のひと柱にしてゼウスの使いたるヘルメスと、一介の農夫に過ぎないトリュガイオスとが、べらんめぇこんちくしょうなノリで対等に会話している光景はなかなか面白い。トリュガイオスの方がいくぶんかやり手に見えるのもまた笑える。なんせこの農夫トリュガイオス、劇中において、ゼウスの子たるヘルメスのことを「ヘルちゃん」呼ばわりしているのである。一体何食ったらこんな喜劇が書けるのかアリストパネスに尋ねたいのも山々だが、一体何食ったらこんな訳が書けるのか、訳者にも是非問いたいところだ。
オーマイヘルちゃん
うんこの話は一旦置いておいて、この時代にはもう既に、平和で利を得る平和産業者と、戦争で利を得る戦争産業者との根深い対立があったらしい。おいおいジーザス……いや、ヘルメス。ヘルちゃん。紀元前には当然ジーザスは生まれてないので、ヘルちゃんだ。ところで古代ギリシア系の書物を読み漁っていると、例え創作中の台詞であろうとも、「人類はこんな昔からこんなんなのかよ」とげんなりする、もしくはンフフとなる箇所に出くわすことも多い。
まったく、人の世の習いにも、金銭ほど人に禍いをなす代物はない、此奴のために町は亡され、民は家から追い立てられる。この代物が人間のまともな心を迷いに導き、引き替えて、恥ずべき所業に向かわせてから、人々に邪悪の道を踏みならわせては、見境なしに不敬の業へと誘い込むのだ。
金、金、金!騎士としてはずかしくないのか!
「人を笑わせるために、誰かを嘲って
おもしろがらせようとするやつがたくさんいる。だが私は
そんな笑いは何だかいやだ。連中は気のきいた
せりふが見つからないと、口汚くなる。人間の数に
入るほどのやつではないが、笑いにかけては結構やる連中さ。」
そういう人たちは人間の数に入らないそうです
そこであの賢人タレスが、母親からしつこく結婚しろ結婚しろと言われてうるさがって、母親をそらしてうまく逃げた。こう言ったんだそうだ、初めは「母上、まだ結婚できる年ではありません。」後には「母上、もう結婚できる年ではありません。」これと同じように性交についても、床に入る時には「まだその時ではない」と言い、起きる時には「もうその時ではない」と言うのが一番いいのだ。」
紀元前7~6世紀(タレス)
2600年前の賢人も100年前の軍人もカーチャンには勝てないんだよなあ
現在の我々は神の保証期間外に生きている可能性が微レ存
そんなわけで、たった2500年ぽっちでは、人間変わりようがないらしい。この2500年で世界はまるきり変わっておいて、変わらないのは人間だけか。2500年前のバージョンのサポートなんてこちとらとっくに終了してるんだから人間共はさっさと最新のバージョンに更新しろやって神様も思ってるでしょうね。もしかしたら、神様も代替わりしてるかもしれないし。まあ、言ってまだ2500年ですからね。今の人間だって、だましだましあと500年くらいは使えるんじゃないかな。世界に何かが起こるたびに、常識、ものの見方、価値観、そういったものを継ぎ接ぎしながら2500年の長きに渡って使い込まれてきた人間の味は、動物には出せないものだ。我々は古いものを脱ぎ捨て新しいものを着込みながらやってきたわけではなくて、古いものに新しいものを次々継ぎ接ぎされて出来た、歴史のパッチワークみたいなものですよ。
ウルトラセールじゃあああ
古代ギリシアの情景を思い浮かべながらゲラゲラ笑いたい人には、上に載せたアリストパネス『平和』、アテナイオス『食卓の賢人たち』、プルタルコス『食卓歓談集』が非常にお薦めです。全て岩波文庫から出てます。で、ここから一番大事なことなんですけど、1月1日から4日まで、ブックオフ恒例のウルトラセールが開催されるぞ!本が全品20%オフ!最高!積ん読本がある人は今のうちにリスト化しておかないと安さに呑まれて同じ本を2冊買う羽目になるぞ!
前の話題とは関係ないですがめちゃくちゃお気に入りの箇所です
犬儒派の哲学者クラテス(前四世紀)は軒並みに家々に入っていっては議論したり忠告したりしたが、どこの家でも尊敬と好意をもって迎えられた。それでも「自動開扉機」と仇名がついた。
上げて落とす(すこ)