ただひとつの私の星についての覚書|星ではないなにかを見てる
二十二時五十五分とあるコンビニにて
星が一匹泳いでおった。奴の仲間はみな雲の底に沈んだ。奴は空に敷かれた暗幕を汚す一点の染みであった。奴は黒き柔肌の上の白き 黒子 であった。奴は周りの黒いところを旨そうに喰っておった。あの星を眺める私はまずそうに白煙を呑んでおった。ポケットの中身にWi-Fiの電波を喰わせながら。私もあの星のようにただひとつでありたいと考えた。普段は晴れた夜の星星の如きたくさんの中のひとつであるが、雲が満ちて空を溢れさすような日の夜には、あのようにただひとつでありたいと考えた。結局、あの星は星ではなくて、ずうっと遠くの電線にひっついているただの白い部品であった。そうと気づくまで、私はあの星の放つ幻の光をただじっと見つめていた。気づきと共に、幻の光はあっさり消えた。幻の光が消えたと同時に、星も消えた。私の星は星ではなかった。奴は黒き内臓の上の白き腫瘍であった。奴は星に化けて夜を犯した。私のただひとつはただのひとつになった。私の星は死んだ。
ロマンティックあげるからセンチメンタルかえせよ
コンビニの前で一服しながら星だと思ってとっくり眺めていたものがただの金属の塊だったなんてそりゃないぜ。あの日の出来事があまりにも悲しかったのでキーボードを叩きました。私のセンチメンタル返して。あの夜に見たただひとつの私の星を返して。しかしまあ、なんだ、私があのままずっと電線にひっついている白い部品を星だと思い込んでいたら、わざわざブログに書くようなこともなかっただろうし、こうやって思い出すことさえなかっただろう。思い出したついでと表現してはナンだが、そう、言うなればこれは私の星の弔いである。勝手に勘違いされて勝手に殺された私の星に対する供養である。
ただひとつはいいぞぉ
天文学には全く疎いけれど、星ってめちゃくちゃ隣接しているように見えるもの同士でも実際はめちゃくちゃ離れてるんでしょう。人の心も割とそんな感じだなあ。私は満天の星よりも、夜空をぐるっと見渡して、ここと、そこと、あそこにあるくらいの星が好きだ。それよりももっと好きなのは、視界の上半分いっぱいの暗闇に星がひとつだけ見えることだ。私が見た幻の星のように。ただひとつの星は、なんというかこう、人間もあんな感じにただひとつであってもいいんじゃないかって気分にさせてくれるな。それは他者との実際の距離的な意味だとか、ナンバーワンよりオンリーワンみたいなそういうことじゃなくて、ただもっとシンプルに、ただただ、ただひとつであってもいいと思うんじゃ。何言ってんだ?
明日は今年の総括書くぞ!!!!!!!!!
こんなんが今年最後の記事にならないように明日もちゃんと書く(強い意志)