自分を花粉症だと思いこんでいる一般人についての覚書|花粉症の対抗ミームを摂取してからご覧ください
花粉症ミーム
花粉症の脅威を熱弁するバイトちゃん「わたし毎年花粉症がマジでヤバいんですよぉどれくらいヤバいかというとですねぇかくかくしかじかまるまるうまうま」
圧倒されるぼく「ほえ~(無関心)」
~翌日~
ぼく「なんか知らんが涙とくしゃみが止まらないンゴ……」
鼻水鎮まれーい!鎮まれーい!鎮まれーい!ええい鎮まれーい!鎮まれーい!しず……鎮まれーい!鎮まれーい!
花粉症の罹患方法って口伝だったのか。知らなかった。かくいう私も学生の頃はとにもかくにも鼻水が酷くてハンカチが手放せず、TOEICだったかセンター試験だったか二次試験だったか忘れたがとにかくそういうめちゃくちゃ重要な試験中に手を挙げて監督官の人を呼んで「鼻水が止まらないので鞄からハンカチを出して机の上に置いてもよろしいでしょうか」と懇願したことがあるくらいアレだったのだが、大人になってからはめっきりそんなこともなくなって鼻炎薬を買うこともなくなったというのに。鼻炎薬を常備しなくなって久しい。仕方がないので風邪薬を飲んだ。目薬は数年前に買ったと思しきものがポーチに入っていた。そういえば昔は目薬も手放せなかったのにもう随分使ってない。流石に怖かったので使わずに捨てた。
まさかコ………………恋
バイトちゃんがあまりにも花粉症について唾飛ばしてアレコレ熱弁するものだから、これから当面の間、私の体に起こる不調は全て花粉症と結びつけて考えられることだろう。まあこんなご時世ですのでぶっちゃけ花粉症よりもコ……のミームの方が遥かに強いのだが。ある日、くしゃみをひとつする。咳をひとつする。かつては「ウーン、風邪かな?」で軽くいなしていた現象たちも、今となっては立派な恐怖の引き金である。クシュン。ゲホゲホ。たったそれだけ。それだけに対し、「まさか……まさかね?」「ただの風邪よね?そんなことないよね?」などと。つらい。我々は常に「嫌な予感」と隣り合わせで生活しなければならなくなった。これはあまりにも生きづらいが過ぎる。現代の我々でさえそうなのだ、昔の人が疑心暗鬼起こして暴走するのも致し方なしだわ。くしゃみなんて鼻にコショウを突っ込めば一発で出るし、咳なんて酢を飲めばいとも簡単に出るというのに。
認識災害くん
病というものはいつだって二度伝染する。我々の肉体を蝕むものとしての伝染と、我々の認識を蝕むものとしての伝染である。病よりも人間の方が恐ろしいとか言われるのは後者の伝染のせいだな。認識に起こる症状は薬やワクチンではどうしようもないし、取り出してじゃぶじゃぶ洗えるような代物でもない。出荷当時の状態に戻せるリセットボタンもない。悪い物事は、「それ自体の悪さ」に加え、「人の認識をあらぬ方向へ捻じ曲げる悪さ」も持っている。個人的には、後者のほうがより悪質だと思う。とはいえ、果たしてこれを認識の「汚染」と呼んでいいものかは判断し兼ねる。誰があかしげやなげひいろのとりやねん。あんな具合にみんなが「汚染」されてしまえば、それは「正常」に変わるのだ。人間はそうやって、ありとあらゆるものを書き換えて、ありとあらゆるものを「正常」にしながらやってきたではないか。我々はこれまでたくさんたくさん失敗して、失敗しすぎてどうにもならなくなった辺りでそれを「正常」としながらやってきたではないか。誰が、青い、青い空やねん。
「たけのこみたいなきのこ」イコールたけのこが支配してるんだなってわかるし「きのこみたいなたけのこ」イコールきのこが支配してるんだなってわかる
ところで、人の意識や無意識に刷り込まれるほどに語られた言葉はさぞかし幸せだろう。内容はともかく。内容はともかくね。「花粉症」という実際の現象が暴れ回っている姿はちっとも可愛くないし、現に苦しんでいる多くの人々のために心底滅んで欲しいと思う。一方で、「花粉症」という言葉が我々の認識から認識へミツバチのように飛び回っている姿にはある意味感心してしまう。「春先のくしゃみ、鼻水、目のかゆみ、その他色々」という散らかった実感全てを、「花粉症」という言葉は一瞬にして己の支配下に置いてしまうのだ。時には直接関係のない実感まで支配下に置くことさえもやってのける。例えば、「花粉症みたいな症状」と表現するときのように。「花粉症みたいな症状」という実感は本物の「花粉症」ではないが、「花粉症」という言葉の支配にすっぽり覆われて、「花粉症」という言葉にすっかり寄りかかっている状態だ。実際、「花粉症みたいな症状」と言えば、大体の人は理解するだろう。「ポロポパペポニョプピポンみたいな症状」なんて言っても誰も分からない。「ポロポパペポニョプピポン」は刷り込まれるほど語られた言葉ではないからである。「ピーヒャラピーヒャラパッパパラパ」を見習ってどうぞ。
記事にまとまりがなくなってきたので
世界が健康でありますように