珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

人生のユーザーインターフェースについての覚書|だいたいポケモンの話

次のポケモン完全新作のタイトルはポケットモンスター地球(アース)/宇宙(ユニバース)とかどう?

前回の記事を読み返していたら、ふと語りたいことができた。ポケモンのゲーム内における「どうぐ」についてである。正確には「トレーナーの所持アイテム全般」と呼ぶべきか。世代によって多少バラつきはあるが、ゲーム中では「どうぐ」と「わざマシン」「たいせつなもの」などは基本的に区別される。すなわち「わざマシン」は”道具”ではあるが「どうぐ」ではない、といった具合に。初代ポケモンはとにもかくにも持てるアイテムが少なく、野生ポケモンポケモントレーナーとの戦いであると同時に「もちものがいっぱい」との戦いでもあった。一応パソコンにも預けられるが、それでもやはり手持ち枠が少ないのはめちゃくちゃ不便である。金・銀ではアイテムがカテゴリーごとに分類されるようになり、それに伴って所持可能なアイテムの数は格段に増えた。ルビー・サファイアもだいたいそんな感じ。ダイヤモンド・パールでは所持できるアイテムの枠が無制限になったが、それと同時にパソコンにアイテムを預けてバッグを整理することが出来なくなったため、却って目当ての品を探しにくい事態に陥ったりと、システム面では一長一短である。私がプレイしたことのあるポケモンはここまで。これより先の世代に関しては、今回参考にさせてもらったネタポケまとめ改@wiki各世代UI考察やその他wikiを読んで頂きたい。ダイパ以降、持ち物周りのUIはどうなってるのかな?

 

はじめに混沌があり、おわりにも混沌があった

世代が進むにつれ、一時は飛躍的な進化を遂げた筈の所持品周りがまた退化の道を辿ったかと思えば持ち直したり持ち直さなかったりとぐるぐる迷走しているのがなんとも面白い。所持数上限が少ない上に全てのアイテムが一緒くたにされて単純ながら混沌としていた初代。カテゴリー分類という画期的なUI改善により大幅に利便性が向上した第二世代。そこにカテゴリーを1つ追加してみたり1アイテムあたりの個数上限をめちゃくちゃ増やしてみたりとなんかやってる気配は感じられる第三世代。所持枠の撤廃という大胆な行動に出るも同時にマイナス面まで発現させてしまった第四世代。どうぐとボールと戦闘用アイテムを同一カテゴリーにまとめる漢仕様でアイテム欄がごちゃごちゃになり混沌がえりした第五世代。その第五世代で導入された便利機能「フリースペース」を撤廃して更なる混沌へと自ら足を踏み入れた第六世代。ンフフ。第七世代と第八世代は検索したけどよく分からなかった。フリースペースが復活したりまた廃止されたりお気に入り機能がついたり消えたりしたってことだけ分かった。

 

そもそも整理する必要がないくらいに少なく持ちたい

前フリだけで1000字消費してしまった。未プレイシリーズのバッグの仕様を調べているうちに気づけば2時間が経過していた。元々書こうと思っていたのは「どうぐ」、すなわち我々の所持品と、その整理に関わるUI、言うなれば我々の思考や判断についてである。ポケモンにおける「どうぐ」とUIの波乱万丈な歴史を見るに、現実における我々の所持品と我々の思考や判断の関係もこんな感じよな、としみじみ思った次第。人間の最初のうちは、そもそも手持ちの品や所持枠が少なかったり思考力が未発達なために、「要るものは持っとく、要らないものは持たない、持てなくなったら代わりに何かを捨てるしかない、整理?分類?はて何のこと?」という具合に、極めて単純かつ素朴な状態である。やがて手持ちの品が増えて思考力もついてくれば、「雑然としてきたからカテゴリー分けして整理しよう、要らなさそうなものでも後から使えるかもしれないからなるべく1つでも多くのものを持てるように工夫しよう」となる。そのうち手持ちの品は加速度的に増えていって、整理の方法もああでもない、こうでもない、最終的には「整理するために整理する」ような状況に陥ったりする。かつて抱いていたはずの「要らないものは初めから持たないか、途中であっても捨ててしまおう」という純朴な判断、「今は要らないけどいつか役に立つかもしれないから所持できるような工夫をしてみよう」という賢明な判断、それらは影も形もなくなって、「全てを我が元に保存しておくためには一体どうすればよいのか」という、そういった思念のもとに動かされている。

 

遠足における楽しみのピークは小さめのリュックに荷物をぎゅうぎゅう詰めている時なので四次元リュックはその点において夢がない

私のような社会的落伍者がこれから真剣に考えていかにゃならんことは、この先何を切り捨てるかということである。何故なら、そもそも所持数の上限が人より少ないから。最優先で切り捨てられるもの、それは今も捨てられない子供の頃からの夢であったり、最早望み薄な人生計画であったり、日常のささやかな贅沢であったり、色々あるだろう。そういったものを素朴な気持ちで次々切り捨てなければならないのだ。それらは今後の人生において、いたずらにバッグの中を圧迫し、肝心なものを取り出す際の妨げとなり、私に「整理のための整理」を強制し、実に不毛なああでもないこうでもないをもたらすだろう。「もちものがいっぱい」になる前に、捨てる。「もちものがいっぱい」になってからでは遅いのだ。たった今拾ったばかりの何かの代わりに、その場でそれらを容易くポイと捨てることが出来るかね?「今月分の家賃」をバッグにいれるために、「子供の頃からの夢」を代わりに捨てる、なんてことが。そんなことになる前に、前もって捨てておくのが賢いやり方だと、私は思うね。

 

1番好きなのはルビサファです

幸いにも余計なものはあんまり増やしたくない性分なので、この先物質的な所持品で私の周りが溢れかえるようなことにはならないと思う。そもそもそんなお金ないし。しかし、非物質的な所持品についてはまったく見当がつかない。土石流のごとく増えるかもしれないし、逆に減っていくかもしれない。もしも増えるようなことがあったら、その度にポケモン赤・緑のことを思い出して、素朴に持ったり素朴に捨てたりしようと思う。そのうち悩ましい場面に遭遇したら、ポケモン金・銀のことを思い出して、賢明に整理したり賢明に工夫したりしようと思う。ハイテクな新要素を追加したかと思えば次の瞬間には削除してみたりとか、デザインをハイカラにしてみたりとか、そういうことは私にはまだ早すぎる。私の所持品は、第二世代で止まっている。

 

 

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