珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

馬鹿正直な木こりと馬鹿正直な泉の女神についての覚書|実にお似合いですよ

馬鹿は事実だけど余計じゃい事実だけど

「馬鹿」と「正直」がニコイチみたいな扱いになってるのが未だに解せない。馬鹿といえば正直、正直といえば馬鹿。馬鹿は正直の枕詞であり、正直は馬鹿の枕詞である。はて、一体いつから馬鹿は正直御用達の修飾語になったのか。「馬鹿正直」とか「正直者が馬鹿を見る」といった言葉がいつからあるのか知らないが、それらがいつからあるにせよ、随分長いこと、下手すれば人類史始まってからずっと、正直者は割を食って生きてきたんでしょうね。そこんとこをハッキリさせるには、歴代の正直者たちに直接尋ねてみるのがいちばん手っ取り早いし確実だ。ついでにその「割」ってやつはどんな味がするのか訊いてやろう。やっぱりニガヨモギみたいな味がするのかな?それとも却ってマナの味がするのかな?ところで、歴代の正直者たちって一体どこに住んでるんですか。さあ?たぶん天国あたりじゃないですかね。

 

《ダーク・オネスト》は実在する遊戯王カードです

割を食ってばっかの正直者は、天国とか来世でなければ幸福になれないのだろうか。ハァ。世に割を食ってばっかの正直者がいるから天国とか幸福な来世とかいう概念があるのか、それとも天国とか幸福な来世とかいう概念があるから世に割を食ってばっかの正直者がいるのか、私には分からない。割を食ってばっかの馬鹿正直者な私、正直救われたい救われてほしい。どこかに彼らのための幸せが存在してほしい。彼らのための幸せがどこにもなかったらどうしよう。「あなたは現世で馬鹿正直を貫いてやり尽くせるだけの損はやり尽くしたけど、天国へは行けませんし、来世における救いはありませんし、そもそも天国とか来世なんてものはありませんよファンタジーやメルヘンじゃあないんですから」なんて言われたら、ダークプリキュアよろしくダークオネスト爆誕してしまうじゃないか。闇属性天使族攻撃力1100守備力1900の効果モンスターっぽい人間を量産しないでくれ。彼らは《ダーク・オネスト》とは異なり、手札から墓地へ送られて、なんの効果も発動せず、なんの影響も及ぼさず、ただそれっきりなんだから。

 

誰が正直を作ったか?

なんだかちょっぴりレリジャスな文章を書いてしまったが、あまり引かないでほしい。私はそっちの人間でもなければ徳や敬虔さの欠片も持ち合わせちゃいない。それにしても……正直者って、一体なんなんだろうな。どこからやってきたんだろうな。そもそも正直は一体どうやって生まれたんだろうな。無から正直が生まれるなんて、そんなことある?正直とて、きっと有から生まれたのだ。じゃあその有ってなんなんだろう。不幸にもこの世に降り立った正直、かわいそうな正直、一体どこからやってきて、どこへ向かうのだろう。正直は、なんのために生まれてなんのために生きるんだろう。正直と正直者についての疑問は尽きない。

 

正直はいいことだって教わったからきっといいことなんだろうなって思っているただそれだけ

ああそうだ、ここらで一応、私が高尚な信念のもとに正直者の味方をしているのではないというところもアピールしておかないといけないな。ウーン、もしも「あなたが現世で嘘をついたぶんだけ来世での幸福を約束しよう」とどこかの神様に言われたら、みんな喜んで嘘をつくでしょうし、私は上の文章とまったく同じ調子で「嘘つき」を賛美したでしょう。それが我々の世界ではたまたま「正直」だっただけの話ですよ。たまたま「あなたが現世で正直を貫いたぶんだけ来世での幸福を約束しよう」だったという、ただそれだけの他愛ない話ですよ。正直が美徳であることは知っているけれど、先程も述べたとおり、正直の生まれと育ちについて何も知らないからして、正直が美徳となった経緯と理由について、私は何も説明できないもの。銀河中探せば、嘘をつけばつくほど来世での幸福が約束される世界があるかもしれない。正直を愛する神様がいるんだから、嘘を愛する神様(あくまで悪魔ではない)がいてもおかしくない。宇宙は広いんだから。

 

世界の童話

女神さま「ざばーん」

きこり「うわでた」

女神さま「あなたが落としたのはこの金の斧ですか」

きこり「いいえ」

女神さま「ではあなたが落としたのはこの銀の斧ですか」

きこり「いいえ」

女神さま「ではあなたが落としたのはこのきったねえ斧ですか」

きこり「はい」

女神さま「あなたはバカ正直ですね 金の斧と銀の斧もあげます」

きこり「いらない」

~おわり~

 

 

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