珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

黙する文章、呼吸する文章、手足の生えた文章についての覚書|やつらはいつもどこか生き物

いいブログですねえ

こんな記事を書いた数日後、なかなか愉快な食レポブログ記事を見かけたので忘れないうちに一応記録しておこうかと思う。タイトルには「何々買ってみました!」とあって、記事はまずそのナニナニなる食べ物のパッケージ写真から始まるのだが、ページをスクロールしていくと、ナニナニの写真こそ豊富なのだが、肝心の感想がひとつもない。つまり、写真→ぜんぜん関係ない雑談→写真→また別の雑談→写真→また別の雑談……といった構成であって、結局最後までそのナニナニを食ってみたという感想がないのである。しかしそれでいて、そのナニナニが美味かったということは大いに伝わった。特別な技巧も凝らさず、取り急ぎスマホで撮りましたといった具合の写真から伝わるのは、「写真を撮らずにはいられなかった」というあの日常でなにか心動かすものと出会った時の庶民的な興奮であって、その上写真と写真の間に挟まれる雑談がそれはもうウキウキしていたからである。ほーん、美味かったんやろなあ。なるほど、食レポに言葉は要らない。語らず語り。流石にあの記事は極端であるが、そういう伝え方もあるのだなあ、としみじみ感じ入った次第。

shirokuro-044.hatenablog.jp

 

これでも前々から気にしちゃいるんだけど一向に改善されないのは私の頭の中がおしゃべりなせい

私はしばしばこう思わんでもない。いや嘘です。めっちゃ思います。「このブログの記事、段落あたりの文字数多くて読みづらいなあ」と。上の段落だってそうだ。率直に言って、二分割した方が絶対読みやすくて読者に優しいと思う。とはいえ、じゃあどこで分けようかとなると、ウーン。強いて言えば、「感想がないのである」と「しかしそれでいて」のところだろうか。けれどもそこで分けるのはなんだか大げさな気もする。一旦段落を区切られると、次の段落にて進展、もしくは他の新しい話が始まることを予感せざるを得ない。語りで言うところのいわゆる「タメ」である。「感想がないのである。……スゥ(ここで息を吸う)……しかしそれでいて、」という風に、なにか決意を新たにする間があるように思わせてしまう。しかし実際にはなにもない。なにもないんだから、同じ段落でいいじゃない。こうなる。

 

鼻をすするようにEnterキーを押す

あまりにも長いと思ったときは、妥協として、一行だけずらすこともある。とはいえそれも、記事スタイルが固まっていなかったごく初期の記事を除けば記憶にある限りでは本当に数えるくらい、それこそ片手の指もないくらいの回数しか行っていないだろう。

一行だけずらすというのは要するにこんな具合である。私はだいたい段落の頭に章題のようなものをつけるが、それをつけずにただずらすだけ。ただ、なーんかこれ、あんまりやろうと思わないんですよね。なんでだろうね。段落を分けることが「……スゥ(ここで息を吸う)……」であるならば、一行だけずらすことは「スン(ここで鼻をすする)」とでもしようか。

ところで会話中、「ああ、今ここで鼻をスンとすすりたいなあ」とハッキリ意識してから実際にスンと すすってみる・・・・・・ ことがどれほどあるだろうか。厳粛な場面、たとえばお偉いさんの前でのプレゼンなど、鼻をすすることさえ躊躇われるような場面では緊張のためにそうすることがあるかもしれない。ああいや、この問いにオチはないです。ええとつまり、なんだ、ブログの中でくらい、一度も鼻をすする必要がないほど鼻通りよくありたいものなのだ。

 

ブログ動物園

書かずして語るとか、文章の中で鼻をすすらないとか、私は一体どこに向かっているんだろう。なんというかね、文章は、内容だけがエンターテイメントではないのだ。形式だってエンターテイメントになれる。ただ文章に書き連ねただけじゃ「し、しょうもな~~~」で終わりそうな内容を、三点リーダや句読点や行間や画像を絶妙に駆使することでンフフと笑える記事に仕立て上げるようなブロガー、いっぱいいるでしょう。そういうことができるようになりたいんですよね。蛇を野に放つように文章を垂れ流すんじゃなくて、チーターを檻から解き放つように文章を自由にさせてやりたい。実物の蛇とチーターはどっちが好きかと訊かれたら本気で悩むくらいどっちも好きだが、ニョロニョロ地面を這っていって日陰でじっと丸まっているような文章よりも、手足を自由に使って太陽の下で活発に動き回るような文章の方がいいかなって。文章に手足をつけてやりたいんですよ。で、自由にさせる。手足の生えた文章なら、好きにさせておいても、勝手に面白くなると思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しらんけど

 

 

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