珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

君子ハイチュウと仏像とカーチャンと一般市民の皆様に近寄らざる覚書|ハイチュウはなにも悪くない

君子危うきに近寄らず

【読み】くんしあやうきにちかよらず

【意味】君子危うきに近寄らずとは、教養があり徳がある者は、自分の行動を慎むものだから、危険なところには近づかないということ。

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危うきの方から君子に近寄ってきたときはどうすればいいんですか!?(切実)

 

パリピ孔明って今流行ってるしパリピ君子がいてもいい

君子。私から最も縁遠い位置にある言葉のひとつ。私は間違っても己のことを君子などと称するつもりはないが、ここはひとつ自分が君子であると仮定しよう。イエーイ、私、君子。学識も人格もめっちゃ優れてるし、徳もいっぱいあるよ。イエーイ。そんなわけで、君子、危うきには近寄らないよ。だって君子だから賢いし。わざわざ危なっかしいものに近寄るようなことはしないよ。でも、君子がいくら危うきに近寄らないよう努力したとしても、危うきは勝手に向こうからやって来るんだよね。この前君子がハイチュウ食べてたときも、ハイチュウが変なとこに引っかかってめちゃくちゃ噎せて苦しかったし。君子ハイチュウに近寄らずって、流石にそれ、君子に対して厳しくないですか?君子だってハイチュウ食べたいよ。こんな具合で、世の中には、一見すると危うきとは到底思えないような代物が突然危うきに豹変することもある。流石にそういう場合は君子もどうしようもないよ。君子、ゆーて人間だから。例えば、ある日ありがたい仏像(とても重たい)を拝んでいると、突然地震が起きてその仏像が自分の上におっ被さって来たとして、私はそのありがたい仏像を危うき扱いして責める勇気はない。もちろん、「万一この場で地震が起きたらこの仏像が私の上におっ被さって来るから危ない、近寄らないようにしよう」と考えなかったなどという理由で自分を愚か者と責めるつもりもない。ハイチュウを危うき扱いして避けるのと同レベルである。え?「君子」のくせに仏像拝むんですかって?一般的用法としての君子だから別に何の問題もないでしょう。だめですか?じゃあ仏像はインテリアだったってことにしといてください。

 

倒れたら危ないようなインテリアグッズを自ら部屋に置いとく時点で君子危うきに近寄ってるじゃないですか

はい

 

侍女(最強)

危うきではありませんという顔をしてこちらが近寄ると突然危うきに変貌するようなものはタチが悪い。けれども世の中に全く危うきを孕んでいないものというのは存在しないので、そういう意味では、君子は何物にも近寄れなくなってしまう。やわやわとろとろの重湯だって噎せたら危うき(経験談)。舌に載せたらふんわりとろけるあかちゃんせんべいだって粉末が気管に入って噎せたら危うき(経験談)。世の中にはもうひとつタチが悪いものがある。自分危うきですという顔をして積極的にこちらを追い掛け回してくる場合だ。これは説明不要ですね。特に君子は君子だし、いかんせん顔が知れ渡ってるもんだから、日々色んな連中が近寄ってくるわけ。こちらがいくら危うきに近寄らないぞという固い決意をしても、危うきはミミズのようにはい出てくるし、ヘビのようにこちらを唆してくるってわけだ。こういうときってどうすればいいの?引きこもしかない?でも引きこもっていたとして、君子に食事を持ってきてくれる侍女が危うきだったらどうすればいいんだ?「アンタいつまでそうやって引きこもってるつもりなの!ごはん作ったから今日こそは1階に降りてきてきちんと食べなさい!布団も洗わなきゃいけないでしょ!」って……

 

バファリンの残り半分について

君子だってこんだけ苦労してるんだから、小人のみんなはもっと大変だよね。え?あ、いや、この場合の「小人」ってのは君子じゃないフツーの庶民くらいの意味合いで、別にあなたがたを見下しているつもりは……ああ待って、待ってください、違うんです、そんなに怒らないでくださいよ、待って!武器を取らないで!蜂起しないで!私の言い方が悪かったです、呼び方を改めましょう、「一般市民の皆様」!これでいいですか?市民っていうのは君子的にはなかなか近代的なワードで使い慣れないものですが、これなら納得してくれますか?はい……ありがとうございます。ヤレヤレ、今のやり取りで、君子といえど危うきに近寄らないようにすることがいかに難しいことであるか、お分かりいただけたかと思います。とはいえ今のは君子的にも発言が浅はかだったと反省しています。とにかく、危うきはどこに潜んでいるか分からないのです。逆に言えば、危うきはどこにでも潜んでいるのです。先程も述べたとおり、危うきを一切孕んでいない事物などこの世には存在しません。バファリンだって、半分がやさしさで出来ているというのなら、残りの半分はきっとあやうさなのでしょう。薬ってのは適量の毒の謂いですからね。だからつまり、安きってのも、適量の危うきの謂いなんでしょう。ねー。危うきは過量の安きってこと。

 

君子の第一回弁論

君子思うんです。「君子危うきに近寄らず」ってちょっとハードル高いなって。君子が粥を食って噎せているときに「ほれ見ろ、君子危うきに近寄らずというが、今まさに君子は粥という危うきに近寄っているじゃないか」と言われたら流石の君子も助走つけて殴るレベルです。ですので、ちょっと妥協案を考えましょうか。「君子危うきになるべく近寄らず」「君子危うきに近寄らないよう努力はしています」「しかしながらこの世に一切危うくないものなど存在しないので君子危うきに近寄らぬことは実質不可能と言えます」「とはいえ君子危うきに近寄らないよう君子に出来る最善は尽くすつもりです」「それには危うきの方々の協力が不可欠です」「君子と危うきが互いに走り去り手を離し合って共に生きることが必要になります」「危うきは森で、君子はタタラ場で暮らしましょう」「もう何物も君子に近寄らないでください」「今はこうするしか方法がないのです」。

 

 

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