昔の最近についての覚書|「最近」には個人差があります
いやですねエンジンがうるさい車ならさっき食べたでしょ
最近の車が発進するときの「ンョーン……」って音が未だに慣れない。だってほら、車の発進音つったら「ドゥルルルルル!!ブゥーン…ウ゛↑ゥ゛↓ーン……」と相場が決まってるじゃないですか。なのに最近の車の発進音の静かなことときたら、まるで忍者だ。「ドゥルルルルル!!」ってエンジンをかけられる音は、気を抜いている時にはすごくびっくりはするものの、「ああこれから発進するんだな」ってことがちゃんと分かるじゃないですか。でもほぼ無音でエンジンをかけられていきなり「ンョーン……」で発進されたら、こっちがびっくりしたときには既に轢かれている可能性があるわけでして。ああ、多分これ、エンジンが静かな車が世に売り出された頃にウン百回と語り尽くされた問題でしょうね。2022年にもなって「最近の車は静か過ぎてちょっと危ない問題」を論じている私って一体なんなんだろう。
1週間は長いけど2年3年はあっという間に過ぎるからね
私の言っている「最近の車」って、具体的にいつ頃からある車なんだろうか。ものすごーーーく前にニュースで見たことがあるようなないような記憶があるようなないような。音が静かな車、ひょっとしてもう10年くらいはキャリア積んでます?車持ってないし、全然ワカラン。でも「最近の車って音が静かなんだなあ」とつとに感じ始めたのは本当につい最近だ。本当に、つい、最近だ。ここ1ヶ月くらい。それまでも音が静かな車に接する機会は沢山あったはずだ。なんせメインの移動手段が徒歩なんだから。それなのにどうしてこんな今更になって、「最近の車」を意識するようになったんだろう。これまた全然ワカラン。私の「最近」ってどこからどこまでを指すんだろう。これまた、全然ワカラン。
1998年2月の私は保育園のおやつに大の苦手なあんパンが出て泣いていました
仮に、「最近」という概念は古より「1か月前から今日まで」と定義されているとしよう。古事記にもそう書いてあるとしよう。ちょっと短すぎるかもしれないけどそのへんは大目に見てください。で、そういう定義が存在するからには、私はどの時点においても「1か月前から今日まで」の具体的な期間を指して「最近」と呼ぶだろう。今の私が「最近」と言ったなら、「2022年1月4日から2022年2月3日まで」を指す。2022年7月3日時点の私が「最近」と言ったなら、「2022年6月4日から2022年7月3日まで」を指す。1998年2月3日時点の私が「最近」と言ったなら、「1998年1月4日から1998年2月3日まで」を指す。つまり、当たり前田利家だが、「最近」は更新される。上の定義を守る限り、2022年7月3日の私が「2022年1月4日から2022年2月3日まで」や「1998年1月4日から 1998年2月3日まで」を指して「最近」と呼ぶことはない。これまた当たり前田利長ですね。どっこい!このような当たり前田利常が通じない人間もいるわけです。うち一例を挙げれば、「 1998年1月4日 から2022年2月3日 まで」を指して「最近」と言ってしまうような人間がいるわけです。1か月前の定義こわれる。「最近」は更新されるものであるにも関わらず、「最近」の起点となる日付のアップデートが過去のどこかで完全に止まってしまい、本来1ヶ月間と定められていたはずの期間が伸びに伸びきって、ここ数年数十年くらいずっと「全く変わり映えのない『最近』」と共に生き、それでいてなんの疑問も抱かないか、薄ら疑問に感じつつも平然と過ごしているような人間がいるわけです。私です。
よくわかる図解!!!!!!!!!!
定義に沿って正しくアップデートしている人の「最近」
ある時点でアップデートが止まってしまった人の「最近」
上の話はそもそも定義が仮定なので(定義が仮定なので?)、雰囲気だけ分かってくれたらそれでいいです。ただ「ほーんペイントにマウスで描いたわりにはまあまあやな」って思ってくれたらそれでいいです。それと察しのいい方ならお気づきかもしれませんが、この記事は本当は1月中に公開する予定でした。いつのまにか月が変わっていたので悲しかったです。この話もこれで終いにします。
?
やっぱりもうちょっとだけ続けます。「最近」の起点となる日付のアップデートだけが止まってしまうってことは、つまりそこからの期間どこまで進んでも永久に「最近」となるわけで、本来「昔」となるはずだった過去まで「最近」に含まれてしまい、失われた過去ならぬ失われた「昔」となるわけですね。「昔」が少なく「最近」がやたらめったら多い人間になるわけです。「昔は~昔は~」と言ってやたらと昔の話をする人もアレですが、「最近は~最近は~」と言ってやたらと昔の話をする人もまたアレです。冒頭の私やんけ!ただ、「最近」という言葉は現代においても非常にふんわりしていてこれといった期間の指定がないところが救いですね。ちなみに起点と終点のアップデートが両方いっぺんに止まってしまうと、「『昔』の『最近』」に閉じ込められてちょっとやそっとじゃ出られなくなるという大変オソロシイことになります。気を付けよう。
SCPの世界では日常茶飯事です
とはいえ、「最近」の終点となる日付のアップデートだけが止まってしまうよりまだマシかなあって。だって起点はアップデートされてるのに終点がアップデートされないとメチャクチャなことになりますよ。いずれ「1か月前」が「今日」を追い越すことになりますよ。「1か月前」が「今日」より未来になりますよ。「2022年1月4日 から1998年2月3日 まで」って意味が分からなさすぎてSCPの世界ですやん。我々が生きているこの世界では、人間がいくら右往左往寄り道回り道しても時間だけは一方向へまっすぐ進んでくれる。はず。きっと。時間の進む方向を信じろ。