新刊の心肝による神観のための震撼についての覚書|シンカーン
古本に挟まってたら嬉しいもの!!!!!
これ!!!
うわ
きたねえ机だ
「あちらのお客様から新刊のご案内です」ってバーカウンターの上を岩波文庫の今月の新刊が滑ってきたら最高だと思う
違う。見るのはそっちじゃない。机じゃなくて中央にあるものを見てくれ。今は古本を買って、これが挟まってたらちょっと嬉しくなるって話をしているんだ。出版のお知らせとか新刊のご案内って紙が好きなんだ。TSUTAYAとか行くとたまに無料の小冊子が置いてあるのでついつい持って帰ってきてしまう。新刊なんて買いもしないくせに。いや、買いこそしないんだけど、「ほーん世の中にはこんな本があるんやな」って知るのにめちゃくちゃ助かるわけ。古本に挟まっているものは、当然最新のものではない。数年前とか、下手すると10年、15年以上前のものである。それを、まさに「わあい新刊のご案内だあ」という顔をして、読む。当時に帰った気分で。ほら、普段の生活であんまりご案内されることがないから。基本的にご案内されるのってあんまり好きじゃないけれど。新刊は特別。
いつまでもあると思うな 親と好きなサークルの新刊
てっきり新刊の反対は「既刊」だと思っていたのだが、今調べてみたところどうやら「旧刊」らしい。あ……ああ。ああハイハイ。新刊の対義語に「既刊」を考えてしまうのは、アレか。オタクだからか。違う。元オタクだからか。同人界隈では大規模なイベント(=同人誌即売会)が近くなると、「新刊」「既刊」という単語を親の顔より見ることになる。「新刊はとらのあなにも委託してます」とか「新刊落としました」とか「少ないですが既刊も持っていきます」とか「すみません今回は既刊のみです」とかそんな感じで使う。そんなわけで私にとっては「旧刊」よりも「既刊」の方がずっとずっと馴染み深い言葉なのである。そもそも「旧刊」って言葉使ったことないなあ。使う機会がないもの。「それ岩波の新刊?」「いや、旧刊」なんて会話ができたらスマートだろうなあ。
もう暫くたのしいこくごの時間にお付き合いください
新刊の対義語が「旧刊」なのは分かった。じゃあ「既刊」は一体どういう立ち位置にある言葉なんだ。そう思ってまた調べたところ、そこには「未刊」という単語があった。ああ……ああ。ああ。ハイハイハイ。「未刊」。ハイハイハイ。なるほど言われてみればそれしかないですね。「新刊⇔旧刊」「既刊⇔未刊」というわけですね。前者は刊行された書物の発売日が新しいか旧いかを表すのに対して、後者はそもそも刊行されているかいないかを表す。なるほど似ているようで全く違う。「既刊(新刊⇔旧刊)⇔未刊」というわけですね。ちなみに「近刊」なる言葉もある。近いうちに出版される予定の書物、もしくは最近出版された書物を指す。同じ言葉が既刊と未刊を跨ぐのか。紀元前50年~紀元50年みたいな感じですかね?「既刊(新刊(=近刊)⇔旧刊)⇔未刊(≒近刊)」というわけですね。
ヨブ記を読んで「まさにデウス・エクス・マキナじゃん!ウケる!」って感想を抱くくらいには敬虔さがない
「新」の本ってうちに全然ないな。「新刊」がないのはもちろん、本は専ら古本屋で買うので「新品」の本もほとんどない。『新約聖書』と『新エロイーズ』くらいしかない。いや嘘。探せば多分もうちょっとある。本はそこそこ読むくせに出版業界と作者に1ミリも貢献してない。私、「最近書かれた最近の本」にはあんまりときめかないんですけど、「最近発行された昔の本」にはめっぽう弱いタイプです。たとえば、岩波文庫の2022年1月の新刊に『新約聖書外典 ナグ・ハマディ文書抄』なる本がある。これはもうタイトルの時点でどっからどう見ても最近書かれたものではないし、Wikipediaによれば紀元350年~400年に書かれた文書である。あー……そう。こういうの。むかしむかしに書かれた作品が、「ヘイおまちどうさま!」って具合に「新刊」として現代の我々の 書卓 に供される、そういうのが、好き。
めちゃくちゃ読みたいな~~~先月発売だけどまだ新刊って言っていいのかな~~~新品で買っちゃおうかな~~~
疲れている時にTSUTAYAで岩波文庫の棚を見ると心が洗われる
洗う心がまだあったんだなあ。