珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

大人が本気でごっこ遊びしたらどうなるか見せてやろうじゃないのっていう宣言だけして満足する覚書|最終的に札束で殴ってハッピーエンド

大人だけど本気で喫茶店ごっこやる大人だから本気でやる

というわけで私が喫茶店のマスターやるから、ママは沸騰するコーヒーポットね!!じゃあお客さんからコーヒーの注文が入ったから、今からお湯を沸かすところね!!よーいスタート!「あーハイハイ!!また始まった!!今度は喫茶店ね!!ハイハイ!!あなた本当『何々をやる』って宣言するときだけは威勢がいいのね!!それを成し遂げるどころか着手したことさえほとんどないくせに!!やると宣言した次の瞬間にはもうやらない理由を必死になって探してるくせに!!『何々をやる』と宣言した時点ですっかりそれを成し遂げた気になるような子に育てた覚えはありません!!今回という今回は本気でやってもらいますからね!!最初の最初から最後の最後まで本気で喫茶店ごっこをやり遂げてもらいますからね!!今ママの怒りが頭の頂点に達した!!ママの頭は最高に沸騰している!!あーお湯湧きそうお湯!!ピョーッ!!!グツグツ!グツグツ!!ボコボコボコボコ!!!!シュポーーーッ!!」わーい沸騰するコーヒーポットだ!キャッキャ!!

 

はい

という経緯がありまして大人だけど本気で喫茶店ごっこやろうと思います大人だから

 

茶店ロクに行ったことないけど想像の中では何度も通っているので大丈夫です

茶店つったらアレ、横長のカウンター。横長のテーブルと、あとシャレオツな丸椅子を2つか3つ。普通そういうのはダイニングにあるものなんだろうけど、ダイニングがないので自室にこさえるしかないね。置くとしたらどこがいいかな?それとアレだね、壁についてる棚みたいな……賃貸だから壁に加工できないし普通の置き型の棚でガマンするしかないね。植物……植物も置かなきゃね。イーゼルとか置くのもそれっぽくていいんじゃないですか。自分、とことん形から入るタイプなんで。肝心のコーヒー道具ですか?そのうち買います。淹れ方ですか?そのうちやります。アッこれダメな匂いがしてきましたよ。コーヒーしかない喫茶店ってのもアレだから、やっぱりパンかお菓子を……冷蔵庫……トースター……オーブン……冷蔵庫……ホームベーカリー……冷蔵庫……ウーン……おうちで喫茶店ごっこやるのも大変だなあ。本物の喫茶店やるのはどれだけ大変なんだか、想像もつかないや。だってここから更に、生身の人間まで置かなくちゃいけないんでしょう。

 

お前が喫茶店ごっこになるんだよ

おうちで喫茶店ごっこしたいね。おうちを喫茶店ごっこにしたいね。人を招いたときに「おじゃましまー……ウワ!喫茶店!」ってリアクションしてもらえるくらいにしたいね。もちろん今すぐは無理だから、何年もかけて。喫茶店だから、無駄に何人前も用意しなきゃいけないものとか色々ある。一人暮らしなのに椅子がいくつもある部屋、笑っちゃうね。ご馳走する相手もいないのに食器だけ立派に揃えてある部屋、笑っちゃうね。でもそれがごっこ遊びってことだから。ごっこ遊びで大切なのは、ここにいない人の頭数をいかに揃えられるかなんですよ。ひとりでおままごとしてたって、食器を何人分も並べたりするでしょう。大人になるとね、それに耐えられなくなるの。誰も座らない椅子をいくつも用意したり、誰も使わない食器をテーブルにずらっと並べたり、誰も食べないカレーライスを拵えたり、誰もいない虚空へ向かってティーカップを差し出したり、誰もいない虚空から飲み終わったティーカップを受け取ったり、そういうことがだんだん馬鹿らしくなってくるのよね。小さい頃はそんなことなんとも思わなかったんだけどなあ。昔は当たり前のように、ここにいない人のことを考えてた。

 

これにはママもニッコリ

生身の人間を用意するのは大変なので、ここにいない人のことを考えながら、ごっこ遊びに興じる。それもいいじゃないですか。自分以外生身の人間がいないわけだから、コーヒーの淹れ方がなってないとか、内装が気に食わないとか、マスターが気に食わないとか、そんなことを言ってくる人もいないし。大人のごっこ遊びは妥協でもなければ酔狂でもない、むしろ真に自分の満足を追い求めるなら、大人にとってはごっこ遊びこそが最適解なんじゃなかろうかって思いますね。こちとら自分の満足の為に本気でやってんだよって。現実は決して自分の思い通りにはならないことを知り尽くした大人こそ、ごっこ遊びに興じるべきです。そこには現実にはない満足があります。真にあなたの満足になる満足があります。ここでもし、やーい大人のくせに本気でごっこ遊びしてるーって指差して笑ってくるクソガキがいたら、そうですね、そこはやっぱり大人なので、大人の対応、大人の礼節、あくまで大人らしく、札束で思いっきりビンタしてあげましょうね。