珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

お客様禁止令についての覚書|お客様は……なんなんだ?

またなんか言ってるよ

ハァー。全ての人間が対等な隣人であればいいのになあ。これは有史以来続く人間世界における「主人―奴隷」とか「支配者―被支配者」とか「権力者―民衆」という概念を解消しようという意味ではなく(決してなく)、「お客様」という概念に対するささやかな反抗である。ハァー。そりゃ我々は客が払った金で生活してるんだから、ある意味我々に対する「主人」であるし、「支配者」であるし、「権力者」である。よき主人は奴隷に報酬を与えるし、よき支配者は被支配者に秩序や安寧を与えるし、よき権力者は民衆に福祉を与えるだろう。しかし世の中よき主人ばかりではないし、よき支配者ばかりではないし、よき権力者ばかりではないのである。言わずもがな!

 

頭の中で概念をいじくりまわすのは自由だ ただしそれを外に持ち出すときは理性の審判にかけねばならない

「お客様」という概念をぶち壊したいわけではないし、今更ぶち壊せるようなものでもないので、私はせめてもの抵抗に、みんながみんな「お客さん」だったらいいのになあと考える。「お客様」なんて概念は存在しない!「お客さん」だ!間違えるな!まあ、そんな具合で。とはいえ、客に対して様をつけるかさんをつけるかなんて、至極どうでもよいことだ。口ではお客様と言い、頭の中ではクソ野郎と呼ぶのも自由なのだ。しかしそう、ここでは敢えて厳格に、お客様禁止令を発令しよう。口に出すのも考えるのも「お客様」禁止!「お客さん」と呼べ!

 

ここ1週間くらいマトモなお客さんばっかりで逆に怖くなってきた そうやって油断させといて落差で殺す作戦なんだろ騙されんぞ

それで……お前は「お客様」を禁止して「お客さん」とすることで、それで満足なのか?敬称を変えて、それで何か事の本質を変えたつもりでいるのか?イヤイヤそんなことはない。ダイヤをウンコと呼んでもダイヤはダイヤだし、ウンコをダイヤと呼んでもウンコはウンコだ。社長をバイトと呼んでもやってることが変わらないのなら社長は社長だし、バイトを社長と呼んでも待遇が変わらないのならバイトはバイトなのだ。呼び方だけじゃ、本質は何も変わらんよ。しかし、それでよいのだ。これは私のエゴで、自己満足で、ささやかな願望なのだ。私は客のことを「お客さん」として扱いたいし、私も「お客さん」として扱われたい。扱われる側としてなら別に「客」でも「クソ野郎」でも好きに呼んでもらって構わんがね。とにかく、「お客様」は懲り懲りなんだ。

 

苗字が「神」の人なら知ってるけど

そんなわけで、お客様禁止令は私という国の中で大変な好評を博したため、適用対象が拡大される運びとなった。神様は神さんだし、仏様は仏さんだ。王様は王さんだし、お后様はお后さんだ。お姫様はお姫さんだし、王子様は王子さんだ。来賓の山田様は来賓の山田さんだし、保護者様へのお知らせは保護者さんへのお知らせだし、迷子様のお呼び出しは迷子さんのお呼び出しだ。なんだろう。別に何も特別なものじゃないな。仏様のことを「仏さん」と呼ぶ年高の人ならうちの親戚にもいるし、お姫様のことを「おひいさん」とか呼ぶ気さくなオッサン冒険者ならどこにでもいそうだし。

 

それでもやっぱり

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