珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

24mの靴を注文した覚書|コンキョ コンキョ コンキョガプロ

ネットで靴を注文しようと思ったらサイズの単位がm(メートル)だったんじゃが

デカい……デカくない……?

 

そらそうよ

あーどうしようどうしよう。困ったなあ。24mの靴が届いたらどうしよう。靴箱に入り切るかなあ。それどころか自室に入り切るかなあ。身長の16倍もある靴なんて、歩いているときにがっぱがっぱしてしょうがないだろうなあ。靴の端から端に到達するまで一体何歩歩けばいいんだろうなあ。靴の端から端まで歩くための靴が必要になるなあ。あー困った困った。本当に困ったなあ。……などということは特になく、普通に24mの靴を注文した。24cmの靴が届くという確信と根拠があったからである。

 

そらそうよ

いちいち説明するまでもないことだが、私の脳内ではいくつかの情報修正や補正が自動的に働いた。その1、靴の単位は基本的にcm(センチメートル)である。その2、m(メートル)級の靴というものは少なくとも人間にとってはありえない。その3、製造や在庫管理、配達など実用以外の諸々の面を考慮しても24mの靴の存在は相当に非現実的である。その4、選択肢が22m~28mで1m刻みとなっており、単位を抜きにして数字だけを見れば靴のサイズとして見慣れた数字群である。その5、cmとmは僅か1文字違いである。その6、故にショップスタッフがサイズ選択画面を作成する際に入力ミスをした可能性が非常に高い。その7、24mの靴は実際には24cmの靴である。その8、私は24mの靴を 安心して・・・・ 注文してよい。

 

そらそうよ

私が24mの靴を安心して注文できるのは、上記のような根拠が24mの靴の周りを隙間なく囲い尽くしているからである。もしもショップの説明に「皆様にご満足を提供すべく当店のスタッフは完全完璧絶対無欠な人材のみを採用しております」とか「生まれてこの方1度もミスを犯したことがないパーフェクト店長が責任を持って販売しております」とか当サイトに記載されている内容は一字一句隅から隅までお客様に誠実であり全てがお客様の信用に値する純然たる事実となっております」とでも書かれていたら、24mの靴の周りを囲う根拠にひとつの大穴が空いてしまうことになる。え……マジで24mの靴が届くの?マジ?

 

そらそ……そうよ?

安心して・・・・ よい。私は安心して・・・・ 24mの靴と注文するのに十分すぎるほどの根拠を持っている。だから安心して・・・・ よい。安心して24mの靴を注文してよい。安心するための根拠を見つけ出すことは得意分野だ。砂漠からオアシスを見つけ出すように、火星から水を見つけ出すように、日本列島から徳川埋蔵金を見つけ出すように、エジプトの古代遺跡からUFOの破片を見つけ出すように、天国にストリッパー工場とビール火山を見つけ出すように、この世から救いを見つけ出すように、いつ、いかなるときでも、安心するための根拠を見つけ出せるはずだ。やろうと思えば。それをやるのに十分な能力が、私には、いや人間には、備わっているはずですよ。見つけ出す――この場合、なにも有から有を取ってくる必要はないんです。へへ。がんばりなすって。

 

そらそ……そうはならんやろ

「根拠を述べなさい」って問題はいいね。その問題が出題された時点で、そこには根拠がありますよと保証してくれているようなものだからね。此度の「24mの靴」問題は、小さい子でも容易に用意(ここギャグ)できるような根拠がそこらじゅうにゴロゴロ転がっている、実に易しい課題でした。「24mの靴は、ふつうに考えて、大きすぎると思います。」これだけでも合格点が貰えますよ。「ふつうに考えて」というのは、実に使い勝手の良い、安全牌的な決まり文句です。いつもこういう感じだといいのですが。現実でよくあるのは、「根拠があろうがなかろうが根拠を述べなさい」って感じだよね。「根拠があるかないかを訊いているんじゃありません。ただ根拠をここに持って来いと言っているんです」

 

ブックオフの正月セール行けるかマジで不安になってきた

私はこれからさらに疲れます。労働は、ふつうに考えて、疲れると思うからです。