珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

いちフリーターの平凡な日常を淡々と描く覚書|まるで日記みたいだあ(驚愕)

無知の痴

ほら、ブックオフの110円コーナーに行くと大抵あるじゃない。めちゃくちゃ茶色い岩波文庫の本。あれ、つい最近まで、表紙がめちゃくちゃ汚い本だと思っていた。めちゃくちゃ汚いから110円なんだと思っていた。いくら110円でも流石にこんな汚い本は買えないと思って、手に取りもしなかった。けれども最近、本当につい最近、私がずっと「汚い表紙」だと思っていたもの、あれが実は「油紙」という薄っぺらぺらぺらのカバーみたいな紙で、あれを剥がすとツルツルの綺麗な本が出てくるということを知った。今世紀最大の衝撃だった。本棚の前で油紙を破かないようおそるおそるめくってみたら、なあに、中身はツルツルの美品じゃない。もうね、なんていうかね、世界が変わったね。

 

問題は裏面の値段シールをどうやって剥がすかということなんですが

めちゃくちゃ茶色い本の正体を知ったその日、それまで手に取りさえしなかっためちゃくちゃ茶色い本をたくさん抱えてブックオフのレジに行った。ホクホクだった。110円でこんなに素晴らしい本が買えてしまっていいの。それまでは「この本欲しいなあ、110円とか最高だなあ、でも私はコレクションで本を買ってるようなところもあるから、ちょっと汚すぎて買えないなあ」と思っていたあの名著この名著、全部買えた。当然経年劣化による全体的なヤケはあるが、表紙がツルツルの色白美人なんだから大して気にならない。それに、実際本を家に持ち帰って眺めてみると、店頭ではあれだけ憎らしく思っていた茶色にも深い味わいを感じられて実によろしい。油紙がついているものは出来る限りそのまま保管しておこうと思う。

 

これは連日摂取すると胸焼けを起こすタイプの自由

めちゃくちゃ茶色い本に対する認識が転回したついでに、もうひとつ認識の転回について書こう。出勤のために家を出る30分ほど前に、手ぶらでコンビニに向かっていた。ズボンのポケットにスマホと煙草を突っ込み、ジャージのポケットに両手を突っ込んだ、実に身軽な状態で。そのときふと、「ああ、まるで何もしなくていい人みたいだ」と思った。自分のことを「あと30分で出勤しなきゃいけない人」だと思えなかった。あまりにも身軽だったから。例えるなら、朝までゲームをして、昼はずっと寝て、夜に起きたけど特にやることもなく、暇を持て余して近所を散歩してる人みたいだった。現実の私は、休日でもこうはならない。朝は寝て、昼は寝て、夜は寝ているから、ゲームさえやらないし、暇だからといって近所をフラフラしたりしないし、そもそも寝るのに忙しくてそんな暇がない。だからジャージに手ぶらで夜道をテクテク歩いているとき、すごく自由を感じた。実際は家に帰り着いて30分で再び家を出なきゃいけないのに。自宅アパートが見えてきた頃、私はこれらの貴重な感覚から、あるひとつの試みを編み出した。「そうだ、今夜1日、自分は無職の人だと思いながら働こう」と。なに言ってんだ?

 

無職転生

実際、最初の30分くらいは強く意識して、自分のことを無職だと思って働いていた。何を言っているのかわからねーと思うが、要するに、「自分は働かなくていいんだ」と思いながら働いていた。もちろん無職の人が働か なくていい・・・・・ 人であるとは限らないのだけど、「自分は働いてないんだ」よりも、「自分は働かなくていいんだ」の方がしっくりきたのでそっちにした。なんだかすごく肩の荷が下りた気分だった。自分は働かなくていいので、かつて仕事と呼んでいたもの、今はただの雑事、が時間内に終わらなくてもよい。自分は働かなくていいので、かつて客と呼んでいた人々、今はただの他人、に対して必要以上にペコペコしなくてもよい。そう思うと、びっくりするくらい楽に動くことが出来た。そのうち強く意識せずとも「自分は働かなくていいんだ」という謎の確信=安心に包まれて、何故かいつもより30分以上早く雑事が終わったし、ただの他人に対していつもよりずっと丁寧に接することが出来た。いつもの1/4もイライラしなかった。ウーン、人の心理ってのはよくわからんな?

 

186cmの山口一郎

 月曜日は、顔がサカナクションのボーカル山口一郎で体型が速水もこみちなお兄さんとシフト固定なので大体機嫌がいい。自分は好きなタイプとか特にないと思っていたが、山口一郎のルックスと雰囲気はかなり好みだ。山口一郎は168cmだが、そのお兄さんは多分185cmくらいある。ぐうかっこいい。私もお兄さんもコミュ障なので時々両者が何言ってるかさっぱり分からなくなるけどお互い強く生きましょう。取り敢えず月曜日のお兄さんがいればしばらく頑張れるな。サカナクション聴こう。

 

 

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