珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

悪文遅筆が服着て歩いているような人間についての覚書|弘法も助走つけて殴るレベル

異種族レビュアー

Pixivである作品を眺めていたところ、その作品のコメント欄に、「●●さんの描く××君が本当に好きです!ほんっとに可愛いです!△△ページの■■も最高でした!はあ……複眼というコメントがあった。はて。「複眼」とは。幸せそうな溜息とともにこぼれた突然の異種族アピールに戸惑いを隠せない私。これぞ本当の異種族レビュアーズ……いや1人なのだから異種族レビュアーか。とはいえ首を傾げたのはほんの数秒程度で、謎の異種族レビュアーの謎アピールの謎はすぐに解けた。まあ恐らく、このレビュアーは『眼福』と書きたかったのだろう。がんぷく、がんふく、ふくがん……そういうことだな。そういうことなんだろう?正直笑った。

 

今度おすすめのHoI4動画紹介しますね

謎の異種族レビュアーのお陰でとても日記っぽい書き出しが出来て非常に満足している。ありがとう謎の異種族レビュアー。私だってたまには、「今日はこんなことがありました、面白かったです」みたいなことを書きたい。頭の中にあるものを書き写すばかりではなく。「昨日はこんなことがありませんでした、面白くなかったです」とか「明日はこんなことがあるかもしれません、面白くなさそうです」の如き偏屈な書き写しなどではなく。そう、だから……そう!今日は現実を書き写そう!目の前にあるものを書き写そう!目の前にあるもの……ええと、パソコン!はてな編集画面と、ニコニコ動画の二画面を開いてる!ニコニコ動画の方では、最近ハマってるHoI4のVOICEROID実況を見てる!ノートパソコンの開閉部のところに、ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルローション0.05%が落ちてる!名前長い!これは頭皮の皮剥けがあまりにも酷いので皮膚科で貰ってきたステロイド剤……ステロイド剤!?あっステロイド剤らしいです!今知りました!ローション状なので結構シャバシャバ使ってました!頭皮に塗るのって難しいです!おしまい!

 

文章の勢いだけでどうにかしようとするな

 ウン。やれば出来るんだ。やれば出来るんだけど、なんというか、目の前にあるものを書き写すのはテンションが最高にハイな時しかやれそうにもないな。目の前にあるものを書き写そうとすると、大抵つまらなくなる。いや今見てるHoI4の実況動画がつまらないとかではなく。動画は面白い。動画は面白いが、面白い動画の面白いところを書き写そうと意識すると、つまらないもののようにしか書けない。私の場合、それが降りてくるのをじっと待つしかない。「ことば」が「面白いもの」を捕まえて、「面白いもの」も「ことば」を捕まえて、そのまま2人で坂道をごろごろ転がり落ちてくるのを。

 

私の埋まらない数行と埋まっていく休み時間

思えば昔から、「その場で即書いて即提出」系の感想文が大嫌いだった。例えば体育館で講演会があって、みんなぞろぞろ教室に戻ったあと、さあさあ忘れないうちに書くんだ、お前たちどうせすぐに忘れてしまうんだから、とでも言わんばかりに15分くらいでピャーっと感想を書いて提出する事を強いられる。どうしてもそれが苦手で、いつも最後の最後まで居残りしていた。それは大学生になっても一緒で、講義の後の感想提出が苦痛で仕方がなかった。周りはサラサラ書いて提出してどんどん講義室を去っていく。そして次の講義では前回学生が書いた感想を教授が読み上げるのだが、皆があの短時間であまりにも深い感想や疑問を書いていることに毎回感心していた。私はといえば、「初めて知りました」とか「なるほどと思いました」みたいな小学生並みの感想を強引に書き上げて無理やり提出していた。私の感想が読み上げられることは終ぞなかった。

 

今はもう私に向かって「なんでもいいから早く書きなさい」なんて急かす人はいないんだ

聴いた話を頭の中で思い出して、印象に残ったところは何度も何度も再生して、それに相応しい言葉を選んで、満足いく感想文を書きたい派だった。満足いかない文章を提出させられて真面目にチェックされることほど悔しいことはなかった。その場で3行書けと言われるより、自宅で3ページ書きなさいと言われる方が好きだった。自宅で書く3ページにおいて、自分が欲するものが最後まで降りてこないことはなかった。時間をかけて頭の中をかき回せば、ぐるぐる攪拌された脳みそがその唸りを止める頃には、いつだって欲する表現、欲する言葉、欲する文章、もしくはそれらに準ずるものが降りてきた。まあ人が文章を書くときというのは大体こんな感じなんだろうけど、私はクソガキの頃から凝り性だったので、降りてくるものに対するチェックが人一倍厳しかったと思う。我こそはという顔をして降りてくる言霊どものうち、不完全なものはことごとく突っぱねた。待てども待てども「~と思いました」しか降りてこないときというのは、大人になった今でももどかしい。「~と思いました」は今書いたでしょ、だから次は「~と思いました」じゃなくて、なんかこう違うのが欲しいんだってば。私が同じ語尾の意図しない連続に耐えられなくなったのは一体何歳の頃だったんだろう。それはちょっと興味あるな。

 

殿!複眼あたためておきましたぞ!

文章を書くことは昔から好きだ。じゃなきゃこんなブログやってない。けれども書くのは今でもべらぼうに遅い。どんな些細な出来事についての感想でも、「見て/聴いて/やって→書く」というのは今でも苦手なのである。「見て/聴いて/やって→所感を脳内で温めて→温めて→温めて→温まりすぎて煮詰まったものが『ことば』と一緒に降りてくるのを待って→書く→待って→書く→待って→書く」、といった具合に。実際、冒頭の話も1週間くらい前のことだしな。こんなん1週間も脳内で温めるような話じゃないと思う。目ン玉ぐつぐつ、煮詰まり膨れて大目玉。

 

 

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