珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

塵の末の塵についての覚書|ちり-の-すゑ 【塵の末】価値のない、つまらない人間のたとえ。[学研全訳古語辞典]

世人もすなる掃除といふものを、 白黒はぐろ もしてみむとて、するなり

毎週やれ

 

いと暑き頃ほひに、朝は浄めをりて、霍乱患ひて

きっかけは本当にしょうもない出来事であった。小説を読んでいたら、「きれいさっぱり片付いていて、掃除も行き届いており、センスのいい家具や小物が配置されている部屋」の描写があって、「ほーん、ええやん」と思って、無性に掃除と片付けがしたくなって、ここ1週間くらい掃除と片付けを頑張っている。日頃は本当に気分が乗ったときにしかやらないのだが、一応最低限の道具だけは揃えてあったのが救いだった。全部100均だけど。「自立するので乾かしやすい」が売り文句だったカワイイスポンジが自立しなくなるまで使い潰した。今、謎の生物の形をしているスポンジは風呂場で力なくうなだれている。かくいう私も、暑さにやられて自室で力なくうなだれている。

 

我が命、よにすさまじきものにして、近うもてなさず、はかなき由つけなどだにせず

きっかけはしょうもない方が都合がいい。それが長続きするようであれば「こんなしょうもないきっかけから始まったんですよ」と笑い話になるし、諦める時も「ハァ、しょうもな」でさっぱり終えられる……気がするからである。思うに、私には仰々しいきっかけよりもしょうもないきっかけの方が必要であるようだ。それも、仰々しいきかっけがひとつあるのではなくて、しょうもないきっかけがたくさんある方が。だから、今生きていることに関しても、「なんか命があるから生きてるんすよ、いやホントしょうもないですよね」くらいに留めておいた方がいずれ救われるであろう。

 

夏のけはひ消えたつままに、醜名のありさま、言はむ方なく おかしい・・・・

そんなわけで、いまめちゃくちゃ欲しいものがある。とてもよく落ちる洗剤と、とてもよく落ちるスポンジ的な何か。風呂用と、台所用。本当にとてもよく落ちるのであれば、それなりに金を払っても構わない。あのねえ、まったくお前ってやつは、こまめに掃除をやらないから、あとあとになって「洗剤」ではなく「とてもよく落ちる洗剤」を要求する羽目になるのだ。しかしながら、この要求はまごうことなき進歩の証である。過去の自分に向かって、未来のお前はとてもよく落ちる掃除道具を欲しがっているぞなんて言っても、絶対に信じてもらえない。掃除道具が欲しいなんて思ったことない。「掃除道具買わなきゃなあ」と思ったことはあるが、「掃除道具欲しいなあ」と思ったことはこれより前には一度もない。それもオシャレな掃除グッズが欲しいとかそんなんじゃない。なんにしろ、とてもよく落ちる掃除道具が欲しい。

 

欲しいものリストをばはや積み果てつ

もしも家中がピカピカになったら、どうしようか。まったく新しい家具を入れようか。それとも古い家具を買い換えようか。カーテンは下の方ビリビリだし、ベッドからは針金が1本飛び出してるし(そのせいでジャージのケツ部分に穴が開いた)、オフィスチェアはこないだ謎の部品がボロンと外れたし(結局どこに付けるのか分からなかったけど今のところ普通に座れている、いつか尻から落ちるかもしれない)、買い替えの方が先かねえ。モチベーションを維持することを優先するならまったく新しい家具を入れた方がいいのかねえ。いま買おうとしたら決断に年単位で時間かかりそうなお洒落な家具を気軽に買っておいてくれた大学生のわたしには頭が上がりません。まだピカピカにならないうちから色々考えている。そうやって色々考えている自分を、しょうもないと考えている。理想の部屋ができあがったら、へへ、ブログに載せて自慢するんだ。ハァ、しょうもな。目的、しょうもな。いやしかしね、物事の始まりはしょうもないことの方が都合がいいというのなら、物事の終わり、目的もしょうもないことの方が都合がいいのかもしれないよ。

 

心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば

いつの間にかしょうもない記事が1本できているものだ。

 

 

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