珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

接客屋さんについての覚書|接客業してると体内のありとあらゆるものが客の方に向かって移動していくのを感じる 客の方が浸透圧が高い

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ここ数日は客に優しくできてめちゃくちゃ満足している。客に、優しく、できて。別に機嫌がいいわけではない。体調がいいわけでもない。客に優しくできている理由は自分でも分からない。でも客に優しくできている。だから満足している。あのー、白黒さん白黒さん。はい、なんでしょう。接客業の人間が客に優しくするのは、小学生が小学校に通い、中学生が中学校に通い、高校生が高校に通い、大学生が大学に通うことくらい、当たり前なのではないでしょうか?

 

籍は強しって話なんだけど言ってることめちゃくちゃだよ

はい、いい質問ですね。その通りです……と言いたいところですが、言葉上の配慮が不足しているように見受けられるので、「通う」ではなく「籍を置く」と表現を改めます。私のように、大学に通っていなかった大学生というパターンもありますからね。私への配慮です。ところで、「大学に籍を置く10歳の少年」は、小学生でしょうか?大学生でしょうか?もちろん、大学生ですね。大学に籍を置く大学生です。大学に籍を置いているから、大学生です。では、「接客業に籍を置く生きていれば今年で2027歳の男性」は、神の子でしょうか?接客屋さんでしょうか?もちろん、接客屋さんですね。接客業に籍を置く接客屋さんです。接客業に籍を置いているから、接客屋さんです。神の子に籍を置いたら、神の子です。え?「神の子」なんて籍は「人間」という籍が存在しないのと同様に存在しないって?神の子と接客屋さんはそもそも「性質」と「職業」というまったく別のカテゴリーに属するわけだから仮に籍があったとしても十分両立できるって?神の子が接客屋さんなんかするわけないだろ!

 

あの人紀元前4年生まれらしい

接客業では接客屋さんのするようにせよという、4世紀のローマ帝国時代から続くありがたい言葉があります。ミラノ司教の言葉です。つい今しがた、生きていれば今年で2027歳の男性に対する不敬を犯したばかりで司教様の言葉を引くのもアレですが、サウスパークでは生きていれば今年で2027歳の男性がアサルトライフルをぶっぱなすシーンとかあるので多分大丈夫です。許されます。それで、えーと……えーと、私はいったい何の話をしていたんですか?

 

もっぺん小学校に通い直してほしい大人はたくさんおるが

ああ。ああそうそう。えー、だからこの場では、小学生だから小学校に籍を置くのではなく、小学校に籍を置くから小学生と呼ばれる、ということにしておいてください。小学校がさき、小学生があとです。接客屋さんだから接客業に籍を置くのではなく、接客業に籍を置くから接客屋さんと呼ばれるのです。私は接客業に籍を置いているので、接客屋さんです。間違っても、接客屋さんだから接客業に籍を置いているわけではないのです。私が接客屋さんとして生まれてくるよりも、オリンピックの全種目で世界新記録出す方がカンタンだと思います。

 

接客業に限った話でもないが

それで、私は接客業に籍を置いたために、接客屋さんのようにしなければなりません。しなければならないのです。できたらいいなとか、したほうがいいねとか、そういう生ぬるいものではなく。しろ、さもなくば死くらいのニュアンスです。ここは人間社会なので。いや、人間の作った、社会なので。客に優しくするとメシが食えるって次元じゃなくて、客に優しくすると酸素ボンベの配給切符を受け取る権利を得られるって次元ですよ。それでもときどき「無理……今日は客どころか誰にも優しくできないししたくもない……自分にさえも……」って日、あるでしょ。私はだいたいいつもそうだけど。何よりも大切な酸素ボンベの配給切符を受け取る権利をむざむざ放棄してでも、自分を含めた全ての人間に優しくしたくないって日が、あるでしょ。

 

ソーハピ

冒頭からここまでの話をギュッと圧縮すると、最近の私は酸素ボンベの配給切符を受け取る権利を得た自分に至極満足しました、ということです。酸素を受け取った自分に至極満足したわけではありません。酸素ボンベの配給切符を受け取る権利を得た自分にです。満足のハードルが低すぎませんか?そんなんさあ、「ここ数日は呼吸ができてめちゃくちゃ満足している」って言っているようなものじゃありませんか。まあ実際そんなもんなんですけど。呼吸ができるのは、嬉しいわよね?客に優しくするのってカンタンなんだなあ。なんでこう、こんなカンタンで、かつ当たり前で、その上やらなきゃ死ぬようなことに対して、アレコレ難しく考えてたんだろう。顔をニコッとして、声色をクイッと上げて、なんかこう、それでいいじゃないの。まあいちばんのコツはなんといっても、心をパタンと閉じることなんだけどね。