珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

今夜の夕食を混沌風秩序ドリアと秩序風混沌グラタンで迷う覚書|最強の秩序で最強の混沌を突いたらどうなるの

広くて綺麗で買い物しやすいドンキはなんかちょっと物足りない

驚安の殿堂ドン・キホーテは、混沌であることがわりと許されているから羨ましい。許されているどころか、適度な混沌を維持する義務さえある。そういうところでしょう、あの店は。混沌がウリ。混沌がアイデンティティ売り場がちょっとぐらいごちゃごちゃしていても、商品棚がちょっとくらいぐちゃぐちゃしていても、背中に龍や梵字がプリントされているジャージ姿のヤンキーがRPGの村人のように店中を徘徊していても、ウンまあこれでこそドンキだよね、みたいな。ドンキって冷静に見て回ると「どこにでもあるちょっと安いスーパー」くらいの価格設定で、ぶっちゃけドンキより安いスーパーなんてごまんとあるが、ときどき小売店の秩序を破壊しかねないとんでも激安価格でモノを売っていたりするのもまた、ドンキならではの混沌である。

 

ポイ捨てはやめよう

ドンキはなにも、立てる店が何故かことごとく敵の襲撃を受けるせいで店内がカオスなことになっているわけではなく、つまり 不幸にして・・・・・ あのような混沌に蝕まれているわけではなく、明確にそういうコンセプトでやっているのだから、ある意味では混沌と言えないかもしれない。ある意味で、そういう秩序なのかもしれない。計算し尽くされた混沌。すごい。秩序を計算するよりも混沌を計算する方が遥かに難しいに決まっている。だからドンキはすごい。似たような店だとヴィレヴァンもすごい。ここに整ってもいないが荒れてもいない土地があるとして、そこから理想通りの更地を作るのと、理想通りの荒地を作るのでは、後者の方が絶対難しいと思う。雑草を植えたり、地面を掘り起こしたり、虫を放ったり、石を転がしたり、空き缶やタバコの吸殻をいい感じに配置するなどして、人為的に荒地を作っても、「人の手が加わった感」が最後まで抜けず、とうとう降参して放置しているうちに、自然が理想通りの荒地を勝手に作ってくれる。その過程で人間にしかできない作業があるとすれば、せいぜい空き缶やタバコの吸殻を投げ入れることくらいである。ポイ捨ては……やめようね!

 

混沌風秩序ドリア

混沌の中はなかなか居心地がよいが、混沌は往々にして人間を殺しにかかってくるので注意が必要である。秩序の中はなかなか居心地が悪いが、秩序はわりかし人間に親切にしてくれるので、絶対ではないが比較的安全である。ウーンウーン。まさに一長一短、どっちも選べない。どっちも選びたくない。居心地がよく、それでいて人間に親切にしてくれるところはないものか。たとえば、秩序を混沌風に並べてみるのはどうだろう。そこらじゅうにある秩序を、一見めちゃくちゃなように配列してみるのだ。散らかった秩序で足の踏み場もないくらいに。ムム、それこそまさにドンキではないかね。ドンキは決して混沌そのものではなく、言うなればカオスな秩序なのだ。

 

秩序風混沌グラタン

ところでその逆、すなわち混沌を秩序風に並べてみるとどうなるだろう。机の上がモノだらけで散らかっているときは、とりあえずそれらをまっすぐに並べてみるとぱっと見片付いている感を演出できるってライフハックを『あたしンち』で読みました。今でもたまに実践します。そこらじゅうにある混沌を、どう見たって完璧なように配列してみる。整った混沌で足の踏み場もないくらいに。ムム、それこそまさにドンキではないかね。ドンキは決して混沌そのものではないし当然秩序そのものでもなく、言うなればオーダーな混沌なのだ。

 

未だにドリアとグラタンを間違える

混沌風秩序ドリアも秩序風混沌グラタンもどちらも捨てがたい。どちらもおいしそうだなあ。ただ、私の中に秩序らしい秩序もなければ混沌らしい混沌もないので、どちらの料理も作れそうにないのが非常に残念です。世の中に正義らしい正義を備えている人なんて滅多にいないし、悪らしい悪を備えている人だって滅多にいないのと同じことだ。ああ、正義の反対は悪ではなく別の正義なんでしたっけ。じゃあ別の正義らしい別の正義を備えている人だって滅多にいない、こう訂正しよう。でも、ドンキを用もなくふらふらと歩いているときは、私もカオスな秩序の一員だし、オーダーな混沌の一員でいることができる。自分で料理が作れないのなら、自分が料理になればいいんだ。これだ。

 

理性の墓場はいつの間にか廃園してましたね

私がかつてよく通っていたドンキは、ぜんぜん関係ない商品がぜんぜん関係ない売り場にポイと放置されているのは当たり前で、お菓子売り場はいつもおもちゃ箱ひっくり返したみたいになってるし、フックにかけてある商品は床にポロポロ落ちているし、箱が潰れた商品があちこちあるし、化粧品売り場ではおねーちゃんが試供品使って延々化粧してるし、積んであるカゴの山ごとカートみたいにゴロゴロ押しながら買い物していつもそれをレジに放置して帰るばあちゃんいるし、通路に座ってひとりで叫んでるおじさんいるし、レジの横入りは日常茶飯事だし、なんかそんな感じだったんですけど、あの店はもはや秩序がどうとか混沌がどうとかいうレベルじゃなくて、理性の墓場だったよ。

 

 

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