珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

ブックオフのウルトラセールに行ってきた件についての覚書|珍しくたわいない本の話など

3日からブックオフのウルトラセールが開催されている。

先月末にふと古本の大人買いでもするか~と思い立って日頃は殆ど空っぽに等しい財布に英世(英世である)を数枚突っ込みブックオフに足を運んだところ、店内放送でウルトラセールの開催情報を知り、セール期間中は全品20%オフになるとのことで、その日は手ぶらですごすごと帰ってきた。

ただその時、その場で買ってしまうか1週間待つか非常に悩んだ本があった。一度は手に取り、脇に抱えて、ぐるぐる悩みながら再び本棚へ舞い戻り、数ページ立ち読みをして、棚に戻した。その本を未練がましく棚に押し込むとき、本の背の固くて冷たくてずっしりとした感触が指先にべっとり絡みついて、しばらく余韻として残った。3日に再び訪れたときに運良く残っていたら買おう、残っていなかったら縁が無かったものと思って諦めよう。己の貧乏を嘆きながら店を後にした。

昨日、そのウルトラセールに行ってきた。

開店して間もない朝10時半だというのに駐車場も駐輪場もいっぱいで、店内はカゴを持ったおじさんや大学生や子供連れでごった返していた。書店における小さな子供ほど恐ろしいものはない。我々が集中してゆっくりと本を選ぶ権利を無邪気にむしゃむしゃ食い散らかし、それで得たカロリーを消費して店内を走り回っている。勘弁してほしい。私は溌溂とした子供ではなかったので、よく分からない店に連れてこられると縮こまって大人しく親の足元にくっついていた記憶がある。かくあれかし。君たちが駆けるべきは本の森ではなく本物の森であり、君たちが泳ぐべきは本の海ではなく本物の海だ。

あの本は無事残っていた。待ってくれてありがとう。購入。

近いうちにAmazonで買おうと思っていた本が非常に良い状態で108円の棚に放り込まれていた。購入。その本の近くにこれまた美品でなかなかに興味をそそる本が鎮座していた。ふむ。購入。先日元号が令和になったがそういえば日本銀行券も変わるんだったな、と思って、また妙なブームが来て値上がりしたり品薄になる前に岩波文庫の『学問のすゝめ』を手に取った。これは410円。購入。

その後人の間から人の間へ、最低限自分の周囲に余白があり息を詰まらせることなく本を吟味できる空間を求めて、水切り石のようにぴょんぴょんと色々な棚の間を跳び回った。

やがて会計を済ませた。4冊660円也。わあやすーい。ではなく、折角のセールだったのにこれだけしか目ぼしい本が見つからなかったことに少しがっかりしている。あと1つ気になる本はあったが、表紙の傷みがどうにも気になって買えなかった。

それに最近むつかしい本ばかり読んでいる気がして、たまには文学作品でも買うかと単行本コーナーを覗いてみたのだが、いい感じの本がなくて結局買わなかった。私が文学作品を買うときのハードルはかなり高い。まず文学作品にはインテリア要素を求めているので基本文庫本では買わない。「装丁が好みか(厚くて固くて手触りがよくデザインはシンプルで色は極力モノトーン、部屋に飾っておけることが前提)」「本文のフォントがしっくり来るか」「内容に厭世や憂鬱などのネガティブ要素を含んでいるか」「作者の頭は十分に狂っているか」などを見る。真の本好きに怒られそうだがいわゆる「表紙買い」過激派である。本文のフォントってなんだよと思う。でもフォントが気に入らない本はぜったい買わない。

GW唯一の楽しみと言っても過言ではなかったセールなのに4冊。物足りない。

仕方がないので他のブックオフの場所を検索している。夜勤明けて少し時間を潰し電車に乗って降りて20分ほど歩けば着くブックオフがある。別方向に2つ。うーん。仕事終わりは大抵へとへとだし何より今絶賛体調不良中だ。頭が痛い。喉がガン腫れしている。イガイガする傷みはないが、もうなんか明らかに腫れていて、出る声がガラガラとかではなく、完全に出なくなってしまう。無理に接客すると首を絞められたシカのような音が出る。

でも行かないと後悔するんだろうな。

●最後に:私が好きな本のカテゴリーリスト

 ・岩波文庫古今東西の名著がカテゴリーごとに色分けされているあのシリーズ。

・食に関するエッセイ:節食や食養を説いたもの。グルメものは好きじゃない。

・食養に関する家庭医学書:養生訓的なやつ。少食、節食、断食など。

・ノート術や手帳術の本:読むと勉強がしたくなるし手帳が欲しくなる。

・本や文章や言葉に関する本:本の本。執筆指南書や言葉辞典なども。

・黒か白の無地一色にタイトルや作者名がぽつんと印字されている装丁の本:エモさ

・何言ってるか分からない本:それもまた哲学だね

 

f:id:shirokuro_044:20190504132556j:plain