珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

言葉のストックを増やす試みについての覚書5|西田幾太郎『善の研究』より~その3~

西田先生もまったく無茶苦茶を言うものだ。いや哲学者とは基本的に無茶苦茶を言うものだ。御大によれば善を為すとはすなわち、我々の意識の最根底にあって知覚衝動思惟想像意志その他諸々なんやかんや全てを統一するという深遠かつ無限なる力、その統一力を維持発展させることであるらしい。なんのこっちゃ!ちなみにその統一力なるものが人格であるという。私が私の人格について考えてみても、そのような玄妙な力が働いているとはとても思えない。人格の尊い卑しいを考える前に人格そのものについて考える必要がありそうだ。おたんこなすの私にも人格はある。あるよな?意識の底に向かって呼びかけてみる。おーい、今日も統一やってるか。私の人格は答えてくれない。

中庸(ちゅうよう)

倫理学上の主要概念の一つ。ギリシア哲学において対立項の中点に立つ調和的存在を初めて考えたのはピタゴラスとされているが,これを倫理学的領域に導入したのはプラトンである。しかしプラトンにおいてはまだ数学的ないし医学的色彩の強いものであった。アリストテレスは中庸の概念を過超と不足に対する均整とし,さらに算術的比例中項に代表されるような事柄それ自身における中庸と「われわれ (識者) にとっての」中庸とに区別して後者を倫理的徳の本質的な属性とした。したがって中庸を本性とし最善とする徳 (たとえば真実) に対しては過超 (たとえば真実に対する虚飾) も不足 (同様に卑下) も悪徳 (カキア) とされる。

ブリタニカ・ジャパン『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』

 過ぎたるは尚及ばざるが如し。とはいえ世の中の人間が皆徳の中庸に到達したら一体どうなってしまうのだろう。誰もが超過せず、誰もが不足せず。そうなったら多分……すごくキモい。哲学者の考える理想、あるべき世界(正解)は、ある意味で達成されてはいけないものだと思うんだよな。達成されないからこそ理想でいられる。達成されるべきではないからこそ理想に留まる。哲学には真理を追い求める快楽と、真理にたどり着かない苦痛との両方が備わっている。それらに挟まれてキリキリキリキリしている人間を見て神様は楽しんでいるのかもしれない。

白痴(はくち)

精神遅滞のなかで最も重い型で,WHOの国際疾病分類の最重度精神遅滞に相当する。全精神遅滞の約5%を占める。知能指数(IQ)は20以下で,2,3歳の知能しかない。言語の習得も不完全で,食事,排便,月経の処理など,生活のすべてに介助を必要とする。社会的に自立することはまったく不可能で,行動異常がみられることも多い。錐体路症状,錐体外路症状,痙攣(けいれん)発作など,身体症状をもつことが多い。また感染に対する抵抗が弱く,看護が困難であるため長寿を保つことは少ない。

平凡社『世界大百科事典 第2版』

現在では差別用語とされることもあるということでほぼ聞かない単語。定義がよく分かっていなかったのでここに挙げさせて頂いた次第。ちなみにドストエフスキーは『罪と罰』なら読んだことがある。

矩(のり)

〔動詞「のる(宣・告)」の連用形から。上位の者が下位の者に与えた宣告の意が原義〕

❶ のっとるべき事柄。 ① 法律。法令。 「商返あきかえしをすとの御-あらばこそ/万葉集 3809」

② 道理。道徳。 「諍ひ諫めて節に死するは是れ臣下の-なり/太平記 4」 「 -を踰こえず」

③ 方式。やり方。 「ことばに定まれる-なし。只心を得て思ひを述べば、必ず感応あるべし/沙石 5」

④ 〘仏〙 〔「法」の訓読みから〕 仏法。仏教。仏典。 《法》 「色にのみそめし心のくやしきを空しと説ける-ぞうれしき/新古今 釈教」

❷ 基準とする長さ。 《法》 ① 距離。みちのり。 「道ノ-五里ナリ/日葡」

② 寸法。さしわたし。 「内-」

③ 建築・土木で、垂直を基準にした傾斜の度合。また、その傾斜した面。

三省堂大辞林 第三版』

法律と道徳が同一の言葉に内包されているなんて素敵ですなあ。

整斉(せいせい)

( 名 ・形動 ) スル [文] ナリ  整いそろえること。また整いそろっていること。また、そのさま。 「邦国を-せんと欲するの時に当りては/新聞雑誌 14」 「其人間の交際は-にして/文明論之概略 諭吉」

三省堂大辞林 第三版』

航空、海上、各自衛隊の紹介サイトで確認出来た言葉。あとは防災訓練のレポートとか。ちなみにサクラやユリ、ヒガンバナなどのように、同じ大きさの花びらやがくが放射状に規則正しくついている花を「整斉花」、或いはその構造を指して「整斉花冠」というらしい。つまり、生半可な整い方ではないということだ。

秘鑰(ひやく)

〘名〙 ① 秘密の鍵。他には使用させない鍵。かくされた鍵。

② 秘密・謎・本質などを解きあかすかくされた手がかり。解明のための深秘(じんぴ)の手段。 ※漁村文話(1852)序「夫文章家之秘鑰、所三窃自用而不二敢言一者」 ※厭世詩家と女性(1892)〈北村透谷〉「恋愛は人世の秘鑰(ヒヤク)なり」 〔李華‐東都聖禅寺三蔵碑〕

小学館『精選版 日本国語大辞典

 素敵な言葉ですけど併せてルビの振り方も知っておいた方がいいでしょう。

<ruby><rb>漢字</rb><rp>(</rp><rt>ルビ</rt><rp>)</rp></ruby>

このタグを使つかえばむずかしい漢字かんじにルビをることが出来できます。やったね

内生(ないせい)

心の中に、ある感情や考えなどが生じること。

小学館デジタル大辞泉

自分って空っぽだなと思ったらそれは内生がないせいです。

敷衍(ふえん)

[名](スル)《「衍」はのべる意》 1 おし広げること。 「それを種にして、空想で―した愚痴」〈宇野浩二・蔵の中〉

2 意味・趣旨をおし広げて説明すること。例などをあげて、くわしく説明すること。「教育問題を社会全般に―して論じる」

小学館デジタル大辞泉

 布衍、敷延とも。

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