珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

アンパンマンのマーチとラーメンの替え玉についての覚書|そんなのはいやだって言うけどさ

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なんのために生まれて

なにをして生きるのか

こたえられないなんて

そんなのは いやだ

アンパンマンのマーチ』(作詞:やなせたかし)

 なんのために生まれてなにをして生きるのかこたえられない同志諸君、ごきげんよう。なんのために生まれてなにをして生きるのかこたえられない白黒れむです。白黒ははぐろって読みます。さて、「自分はこれこれを為すために生まれたのだ」と断言出来るほどの何かに巡り会えた人々は幸いである。現世の国はその人たちのものである。それが例え他人から見た時にどれほどちっぽけで、くだらなくて、取るに足らないものであろうとも。これまでの人生、そしてこれから先の人生、私が一体なにをして生きるのかについてはさっぱりこたえられないが、「なにをして生きているのか」ならこたえられる。そう、労働ですね。

私も所詮誰かのお代わり

人はどうしてこうも、なんのために生まれてなにをして生きるのかこたえられないままズルズルと生きて、老いて、死んでいくのだろう。幾つか前の記事で同じことを言った気がするが、今生きている人間の殆どが、(残念ながら)生まれたことに特に意味の無い者たちである。私だってそう。一応断っておくとこの場合は「自分が生まれたことは自分の両親からすれば意味が有る」とか「自分が仲を取り持ったからこそA子とB男はくっついたのであってその点ではA子とB男にとって自分が生まれたことは意味が有る」とかいう感情的、物語的な話ではなく、「自分の才能は世の中にとってどれほどの価値を持つか」という非情(誤字ではない)に合理的な話である。そして特にこれといって価値ある才能を持たない多くの人々は、世の中にとってはいくらでも替えが利いて、代わりがいて、別に私でもいいしあなたでもいいが私じゃなくてもいいしあなたじゃなくてもいい、あいつでもこいつでもそいつでもどいつでもいい、特筆すべき特徴のない似たりよったりの顔(=才能)をしたモブに過ぎないのである。悲しいね。漫画やアニメの背景に1コマ限りで描かれた薄い顔のモブや、ドラマで主要人物の後ろを一瞬通り過ぎていく大勢のエキストラたちに対していちいち名前や性格や仕事や家族構成を設定することはそうそうあるまい。とあるシーンに一度だけ登場してそれ以来一切顔を見せないあの女性が高校生であろうが、大学生であろうが、都会のお嬢様であろうが、田舎の貧乏娘であろうが、実は男であろうが、宇宙人であろうが、モブという役割を果たしてくれさえすれば何でもいいのである。仮に私が才能据え置きで見た目だけ195cmのムキムキマッチョマンに変貌したとしても、世の中にとっては至極どうでもいいのだ。何故なら才能が据え置きだからである。周りの人達は腰を抜かすかもしれないけれど、それも世の中にとってはどうでもいいのである。ラーメンどんぶりに次々放り込まれる替え玉のような我々だから、なんのために生まれてなにをして生きるのかなんて決まっている。替え玉としてどんぶりに放り込まれるために生まれて、替え玉として食べられながら生きるのだ。にも関わらず、人はそれを認めたがらない。認めることが出来ない。自分が替え玉であることを認められないから、替え玉であることを認める代わりに、「なんのために生まれてなにをして生きるのかこたえられない」と言うのである。やれやれだぜ。

替え玉業も楽じゃないんですよ

ここまで言ったからにはまず私が認めなければならない。私は替え玉として生まれて替え玉として生きる替え玉です。私は私でなくてもいい私なのです、と。私が天才フリーターか何かだったら私は私でなければ困るのだが、それこそ「いくらでも替えの利く」の代名詞のような普通のフリーターなので、私は私でなくてもいい。私にとって私は私でなくてもいいし、店にとってはシフトさえ埋まればその日のシフトは私でなくてもいいし、世の中はそもそも私に興味がない。今日も明日も同じどんぶりに投げ込まれて、同じように食われて、マズいだの麺が硬いだの文句を言われて、替え玉なんて辞めてやると思っても、また次の日にはどんぶりに投げ込まれるのだ。は~こんな世の中クソ喰らえだわ。ラーメンの替え玉を喉に詰まらせてくたばってしまえばいいのに。

ああ アンパンマン

この記事を書くためにアンパンマンのマーチの歌詞を調べたのだが、私は随分長いこと歌詞の一部を間違って覚えていたらしい。子供の頃から今までずっと「アン アン アンパンマンだと思っていた前前前世」みたいなやつだと思っていた。正しい歌詞はああ アンパンマンである。なんだよ「ああ」って。切なさ出してくるんじゃないよ。

 

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