珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

「物としてのヒト」に憧れる「者としての人」についての覚書|いつか誰もが物に還る

わたくし、こういう ですが

真核生物動物界真正後生動物亜界左右相称動物新口動物上門脊椎動物脊椎動物亜門四肢動物上綱哺乳綱真獣下綱真主齧上目真主獣大目霊長目直鼻猿亜目真猿型下目狭鼻下目ヒト上科ヒト科ヒト亜科ヒト族ヒト亜族ヒト属ヒト、構成元素は酸素炭素水素窒素カルシウムリン硫黄カリウムナトリウム塩素マグネシウム、白黒れむと申す物です。白黒ははぐろって読みます。この物は平均的な物に比べて耐久性に乏しく、所々に損傷が見られます。また激しいバッテリー損耗のために容量の25%を超えてエネルギーを蓄えることが出来ません。生産性に欠けており、処理能力が著しく低く、複雑な業務には不向きです。入力に対してはフリーズを、出力に対してはクラッシュを頻繁に起こします。利点と致しましては、極めて安価かつ粗悪なエネルギーでも動かせること、メンテナンスを特別必要としないこと、諸々の周辺機器を必要としないこと、自動バックアップ機能だけは一丁前なこと、いくらでも代わりが利くこと、燃えるゴミで処分可能なこと等が挙げられます。

 

わたくし、こういうですが

国籍は日本、性別は女、年齢は27歳、職業はフリーター、最終学歴は高等学校(大学中退)、免許資格は特になし、世帯構成は一人暮らし、独身彼氏無し、好きな食べ物はパン、好きな飲み物はコーヒー、好きな色は黒と白、生き甲斐は思索することと哲学書を読むことと文章を書くことと寝ること、死に甲斐は労働、白黒れむという者です。白黒ははぐろって読みます。この者は平均的な者に比べて体力が少なくすぐにヘバり、手指の皮膚が常にボロボロです。また激しい肉体疲労のために25%程度の身体機能しか発揮出来ません。生産性の無い人間であり、作業スピードがクソ遅く、理解力も無いので複雑な仕事には不向きです。小難しい指示を受けるとすぐ頭がこんがらがり、逆に他人へ出す指示はまるで要領を得ません。長所と致しましては、スーパーやコンビニで売っているパンやカップ麺や100円菓子で立派に満足してやっていけること、磨けるような自分が無いので自分磨きが必要無いこと、物欲が薄く最低限の持ち物があれば十分であること、いくらでも代わりが利くこと、燃えるゴミで処分可能なこと等が挙げられます。

 

物とかいう最高にクールな平等主義者

私は「物」であるか「者」であるかと問われたらまあ一応「者」なんだろうけども、近頃は自分に有機物としての資格があるかどうか疑わしく思う。有機物に向いてない。物と者、好きな方を選んでいいよと言われたら躊躇いなく物の方を選ぶ。所有するにしても物がいいし、所属するにしても物がいい。そのために物として冷たく扱われたって構わないが、その代わりに私は物として完璧に振舞わせてもらう。物たる私はSiriじゃないので話しかけられても何も答えないし、学習AIでもないのでおべっかなんか使わずに見たままのことをそのまま表す。物は相手によって態度を変えたりしない。ありふれたボールペンが、使い手次第で高級万年筆に変化したりボソボソの鉛筆に変化したりすることはない。ありふれた人間が、お得意様を相手する時と自分の家族を相手する時とで態度をガラッと変えるがごとき切り替え、そういったことを物はいちいちやらないのである。逆に人間の側が、ありふれたボールペンを高級万年筆のように扱ったり、ボソボソの鉛筆のように扱ったりすることはあるかもしれない。

 

おかしい人間はお前のほうじゃい

まあしかし、なんというかだね?過去にクソ客と遭遇した経験が幾度となく積み重なった結果、四六時中クソ客のことを警戒せざるを得なくなり、なんてこたあない普通のお客様に対しても警戒心バチバチになってしまって8時間ずっと警戒心剥き出しで接客してそのせいで死ぬほどくたびれて、ひいては街中ですれ違う人間に対しても、スーパーで同じ商品棚を眺めている人間に対しても、隣で横断歩道の信号待ちをしている人間に対しても、「もしかしたらこいつはおかしい人間なんじゃないか?急に叫びながら殴りかかってきたり政治や国際問題や宗教の話をふっかけてこないだろうか?」って警戒心バチバチになってしまって、そのうち全人類に対して警戒心バチバチになってしまうんじゃないかと危惧しているのだ。それもこれも、私が「者」であるせいだ。もしも私が「物」だったなら、誰に対してもニュートラルでいられたのにね。

 

 

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