珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

私の入口についての覚書|研修初日のバイトの子に対する私の完璧なやさしさ見る?すごいよ

その友人は経済的支援を必要としていませんか?

アンケートサイトをチェックしていたら、「島に住んでいる世帯収入101円~300円の友人がいる方を対象としています」というアンケートが届いていた。初っ端から難易度が高すぎると思う。よくある外国製アンケートのガバガバ日本語である。とりあえず考えてみるに、まず島に住んでいるという部分が非常に謎だが、これは恐らく日本という島国、要は日本国に住んでいるという意味であろう。かしこい。で、世帯収入101円~300円というのは、101万円~300万円の誤りであろう。で、そんな友人がいる回答者を探していると。なんやねんそれ。そもそもこの文章の区切り方はそれで合っているのかという問題もあるが、その後に続く文章を読む限り、これは「『島に住んでいる世帯収入101円~300円の友人』がいる方を対象としています」であるとハッキリ分かるのである。つまりこの場合、島に住んでいて世帯収入101円~300円であるべきなのは友人の方であって、私ではない。友人の居住地はともかく、世帯収入なんか分かるわけないだろ。しかしこんな条件で募集をかけて、一体誰が回答するというのか。「質問者の問いがガバガバなのだから回答者の答えがガバガバでもままええやろ」ということで、私は「はい、当てはまります」の選択肢を押し、アンケートに進んだ。

 

わ、私はそういう怖い道とか結構好きだし……

その後のアンケートは至って普通の、日本語にも難のない、ごくありふれたものだった。どうして入って早々にあんな試練を用意してしまったのか。とはいえアンケートサイトの登録者なんて、いっぱい答えていっぱいポイントが欲しい人がほとんどだろうから、私のように一瞬首をかしげて「はい、当てはまります」を選んで進む人が大半だろうけど、もしも大真面目に「『島に住んでいる世帯収入101円~300円の友人』なんておらんわ……辞退しよ……」などと考える人がいたならば、まこと気の毒な話だ。そんな人がいるのか知らんけど。最初が肝心とはよく言ったものだ。いくら門の先に続く道がマトモでも、門がマトモじゃなかったら誰も入りたがらない。お札がベタベタ貼ってあって血痕があちこち付着していて意味不明な文言がそこらじゅうに書きつけてあって上方で鴉がガアガア鳴いているような朽ちた鳥居の先に舗装された平坦なお散歩コースがありますよと言われて、一体誰が入りたがるのかという話である。

 

入口だけグッドデザイン賞

そんなわけで、何事も入口が肝心。私も人を迎え入れるとき、入口はあくまで広く、平らかに、バリアフリーにを心掛けている。つまり、初めて会う人に対しては、大らかに、寛容に、フレンドリーを心掛けている。しかし私の本性が大らかで寛容でフレンドリーかと言われると決してそうではないので、段々ボロが出てくる。私の入口に入った人は、初めこそ「おっええ道やん」と思うかもしれない。しかしどんどん進んでいくにつれて、生えっぱなしの雑草が目立つようになるし、道もガタガタになっていくし、空気も澱んでいくことに気づくだろう。だがもう引き返せない。仕方なく歩みを続けると、しまいには、お札がベタベタ貼ってあって血痕があちこち付着していて意味不明な文言がそこらじゅうに書きつけてあって上方で鴉がガアガア鳴いているような朽ちた鳥居があって、そこで行き止まりになっている。

 

人付き合いのターンオーバーが短い

私が他人に対して拓けていられるのは、3ヶ月が限度だと思った。3ヶ月くらいなら、お互いの素性を探り合っているだけで会話が弾むのだ。どこ出身ですかとか、どんな仕事をしていますかとか、ご趣味は何ですかとか。お見合いかな?それで、あらかた相手の素性を探り終わると、さあ困った困った、話題がない。今日の天気とか、今日の気温とか、今日のコロナとか、そんな当たり障りのない話題で誤魔化すしかなくなる。さらにそれも苦しくなるころになると、明らかに口数が少なくなる。決して機嫌が悪いわけでも愛想を尽かしたわけでもなくて、ただただ話題に困っているだけなのである。それなら最初から無理に綺麗な入口を仕立てなくても、「私は元々こんな人間ですよ」ということを端から打ち出して、舗装せず、飾り立てず、誤魔化さず、ありのままの、汚らしい入口を用意しておけばいいと思う。もちろん、そんな勇気はない。

 

談合してもいいから誰か私の道路工事に入札して

私はハリボテの道だ。入口がちょっと小奇麗でだだっ広いだけの、見せかけだけの道だ。入るは易く、留まるは難し。それならいっそのこと、入るは難く、留まるは易い方がいいんじゃないかと思う。最初こそ少々とっつきにくいが、接していくうちになかなか愉快な人間であることが分かって、その後長きにわたって気安い仲でいられる、みたいな。そっちの方が断然いい気がする。あれ、じゃああのアンケートはなかなか的を得ていたのかしら?入口こそムチャクチャだが、入ってしまえばなんてことはない普通のアンケートで、終わってしまえばむしろサクサク答えやすい良アンケートだった、みたいな。あー。そういうの。そういうのいいなあ。入口だけ立派に拵えただけの人間じゃなくて。道中。道中をね。私の道中をね。いい感じに整備してくれる会社はありませんか?

 

 

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