珈琲三杯|思索のための思索

限界フリーターが毎日の思索を書き綴る。手帖の代わり、或いはゴミ箱。

超・力技によるコミュニケーションについての覚書|クールな人間に憧れる陰キャ

最近の若ェモンは

ったく最近の若ェモンときたら、そう、最近の若ェモンは……落ち着いてんなあ……と、秋頃から入ってくる新人バイトを見て思う。私なんか勤務2ヶ月くらいまで「す、す、ずびばぜん゛~゛~~!゛!これ゛どうすればいいんですか~゛!!!゛ちょっとこっちに来て見ても゛らっていいですか~゛~~!!」と分からないことがある度に1人でどったんばったん大騒ぎしていたのに、入って数日の学生さんが「すみません、こういうときはXXしてよろしいでしょうか」「はい分かりました、やってみます」「出来ました、ありがとうございます」と冷静沈着に出来る業務を増やしていく姿を見ていると本当に感心する。つまづきに出くわしても私のように「ビエ~~~!!!」とか「ギエピー!!!」とならないのだ。すごい。そんな彼らに学んだというか、恥じ入ったというか、そういうことがあって、最近努めて努めて冷静なリアクションを取るように心がけている。本当は「あ゛~~~!!なんじゃこりゃ~~~!!!」と言いたいのをグッと堪えて、「あー……これはちょっと面倒なパターンですね(笑)」とクールぶってみる。私はクソ根暗だが、リアクションだけは人一倍デカいので、クールに振舞うのはなかなか難しい。

 クソデカリアクション陰キャおばさん

仕事中における私のリアクションがクソデカいのは、「リアクションがデカい人」という純粋な人間的性質に基づくものなのか、それとも「テンパりやすい性格なので必然的にリアクションがデカくなる」という前提条件あってのものなのか。普段のテンションはすこぶるローなので恐らく後者だろう。ところが最近このクソデカリアクションを極力抑えた結果、常時ローテンションでただ淡々と指示出しをする人間――いや、先輩面ロボットが出来上がってしまい、それに加えて機嫌が悪い日なんかはもう、ただのイヤな女である。地声が低いのもそれに拍車を掛けている。またやっちゃったハズカシーと感じながらも素のクソデカリアクションを多少解禁するか、優秀な後輩の子たちを見習って落ち着きのあるキャラに路線変更するか。

――陰キャのキャラ変は地雷って古事記にも書いてある。

 陰キャの敵は陰キャ

 全国8000億人の陰キャのうちで、1度でもキャラ変を試みなかった者がいるだろうか。いや……3000億人くらいはいるかもしれない。しかし進学や就職などを機にいっちょ陽キャデビューしてやろうと思う人間は多いだろう。私の学生時代はまだ「陽キャ」などという言葉は普及していなかった。専ら「リア充」とか「スクールカースト上位」とか、そんな感じ。私も進学の度に「あわよくばクラスのリーダー的存在の子がいるグループに……」などという野望を抱いては、結局陰キャの溜まり場に落ち着くのが常であった。

陽キャの仲間入りを果たせなかった陰キャが次に向かう先はどこか。クールキャラである。やはり自分にはあんなキャピキャピウェイウェイする力はない。ならばこの口下手と物静かさをなんとか上手い方向に活かし、陰に属しながらも舐められない、クールで落ち着いたキャラになろう。自分は他のネチャネチャオドオドした陰キャとは違うというところを陽キャ共にアピールしてやろう。するとどうなるか。大抵の場合、陰キャ仲間にクールキャラ”ぶっている”ことが速攻でバレる。これは私の経験則だが、陰キャは「クールキャラぶってる陰キャ」にすこぶる敏感である。クールの素質がない人間がちょっと無理してクールキャラを演じている様は、その本心が陰キャ仲間に筒抜けなのである。それで、陰キャ仲間からも距離を置かれるようになる。もちろん、陽キャからは見向きもされない。

やっぱりキャラ作りなんてするモンじゃねえ!

 リアクションでコミュニケーションする女

ええと、元々何の話をしていたのであったか。若い学生さんたちがあまりにも落ち着いているから、いい歳した私が落ち着きのないのは恥ずかしいので、クソデカリアクションを封印してクール路線で行こうとしている、という話であった。ウーン……止めておいた方が得策だろう。

「おっちょこちょいでそそっかしくてリアクションがデカい」というのは恥部以外の何者でもないが、コミュニケーション能力ゼロの根暗オブ根暗な私にとって、唯一のコミュニケーションツールと言っても過言ではないのだ。また白黒さんがパ二クってるよ仕方ないなあ、と周囲に助け舟を出して頂くことによって、その時ばかりはコミュニケーションらしいコミュニケーションが取れるのであった。これを捨ててしまっては、私に対人スキルの何が残るのだろうか?ロクに会話も出来ないくせに、変にクールぶって、デキもしないくせにデキる女を装って、それで……それで、誰が私に取り合ってくれるというのだろう?何かがあった時には、躊躇わずに周囲に助けを求めることが出来るのは、まあよかったなと思う。黙って1人で抱え込んで後々大きな迷惑を掛けて周囲からの評判を下げるタイプの陰キャもいるわけで。そんな人生だったので、お礼にかける熱意も人一倍デカい。3階席の皆さん、いつも本当にありがとう。焦った時は、とことん焦ってみる。助けて欲しい時は、とことん助けを求めてみる。謝罪するときは、とことん謝罪してみる。感謝する時は、とことん感謝してみる。私は面白い話なんか何一つ出来ないから、こういう(傍迷惑な)クソデカリアクション・コミュニケーションに頼るしかない。クールな女に生まれたかったものだ。

 寄る年波には勝てぬ

最近の悩みは、この「おっちょこちょいでそそっかしくてリアクションがデカい」という素のキャラが、果たして何歳まで許されるのだろうかということである。

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